平成30年10月12日(金)

 今朝の閣議では,法務省案件はありませんでした。
 私から2件御報告します。まず,関係閣僚会議についてですが,本日開催された外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議においては,次期国会に提出を予定している『「出入国管理及び難民認定法」及び「法務省設置法」の一部を改正する法律案』の骨子等について私から御説明しました。
 入管法一部改正案について,出入国管理及び難民認定法の一部改正においては,深刻な人手不足の状況に対応する必要があることから,新たな外国人材受入れのための在留資格「特定技能1号」及び「特定技能2号」を創設し,外国人に対する支援に関する規定や受入れ機関に関する規定,外国人に対する支援を行う登録支援機関に関する規定等を整備することとしています。
 法務省としては,来年4月の制度開始を目標に関係省庁と連携して速やかに準備を進めてまいります。
 また,法務省設置法改正案関係ですが,出入国管理及び在留管理を強化しつつ,新たな外国人材の受入れや外国人の受入れ環境整備といった新規業務を一体的に担う組織として,法務省の外局に「出入国在留管理庁」を新設するため,法務省設置法を一部改正します。
 同庁新設により,今後,より一層強力に出入国在留管理行政を推進してまいります。
 次に,本日,東日本入国管理センターを視察することとなりました。
 先の通常国会における国会質疑では,入管収容施設での被収容者の処遇に関わる諸問題について数々の御指摘があり,また,送還忌避に伴う長期収容の問題についても度々御指摘がなされております。
 他方で,今朝の関係閣僚会議でも議題となった新たな外国人材の受入れについても現在法案提出に向けて作業中であり,同制度を適正に運用していくためにも,入管法違反者に対する退去強制手続,とりわけ送還が法に則りしっかりと機能している必要があります。
 こうしたことを踏まえて,就任早々の時期ではありますが,今回,東日本入国管理センターを訪れて送還忌避及び長期収容問題の現状について視察することとしたものです。

新たな在留資格の創設に関する質疑について

【記者】
 今回の新たな在留資格の創設が,移民施策ではないとする根拠は何かお聞かせください。また,在留外国人が増えることについて,治安の面から心配する声もありますが,大臣の御所感をお聞かせください。

【大臣】
 「移民」という言葉は様々な文脈で用いられていますが,例えば,国民の人口に比して,一定程度のスケールの外国人及びその家族を期限を設けることなく受け入れることによって,国家を維持していこうとする政策については,我が国は採っていません。我が国は,専門的・技術的分野の外国人を積極的に受け入れることとしていますが,それが政府の基本的な考え方であり,先ほど申し上げた内容の移民政策とはこのような考え方とは相容れないということであり,我が国はそのような政策は採っていません。
 我が国は,入国当初から期限を設けることなく在留を許可するとの方針は採っていないということでして,この点は,今回の受入れ制度においても変更はありません。
 今回の受入れ制度は,深刻な人手不足の状況に対応するため,真に必要な分野に限り,一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れるものです。今回の受入れ制度は,特定技能1号及び特定技能2号の在留資格を創設するものです。そして特定技能1号については,受け入れる外国人の在留期間は通算5年です。受け入れる期限を設けることなく外国人の受入れを認めるものではありません。
 また,特定技能2号についても,現行の専門的・技術的分野における在留資格と同様です。現行の専門的・技術的分野における在留資格を移民などと呼ばないのと同じように,今回も一定の期間を設けて在留を許可するものであり,在留期間の更新が必要です。そして,その更新については,当該期間内における外国人の活動状況等を厳格に審査し,これを適当と認めるに足りる相当の理由がなければ許可されません。
 加えて,特定技能1号及び特定技能2号のいずれについても,人手不足に対応するために外国人を受け入れるものですが,必要とされる人材が確保されたと認められる場合には,新たな受入れは行わないことはもとより,既に在留が認められている者についても,雇用契約の更新がされない限りは,在留期間の更新は許可されません。
 したがって,先ほど申し上げたようないわゆる移民とは明確に異なるものであると考えています。
二つ目にお尋ねの治安面ですが,外国人入国者数は5年前に比べて約2.4倍,在留外国人数は5年前と比べて1.2倍と大幅に増加しています。この増加が治安面に悪影響を与えているという状況は承知していません。ただ新たな外国人材を受け入れるに当たっては,テロ等の組織犯罪対策や不法滞在者・偽装滞在者対策を含め,治安への十分な配慮を行う必要があると強く認識しているところです。
 今後,制度の運用に当たっては,新しい受入れが国民の皆様に不安を与えることがないよう,しっかりとした在留管理・雇用管理を行っていかなければならないと考えています。

【記者】
 外国人材の在留資格について関連でお伺いいたします。熟練した技能は「特定技能2号」ということで,これを持つと外国人労働者については在留資格を毎年審査して更新する仕組みであり,日本での永住が事実上可能になるとの表現も一部報道でありますが,これについて認識をお伺いします。

【大臣】
 御指摘の報道については承知していますが,まず,「特定技能2号」を持つことが,永住を可能とするものだということについては,私はミスリーディングだと思います。
 「特定技能2号」については,在留資格を毎年審査して更新する仕組みとすることも考えておりません。
 こうしたことで,今回の報道については,表現ぶりその他において,誤った,ミスリーディングのものであると考えています。
 ここで永住との違いについて御説明しますと,「特定技能2号」は,現行の専門的・技術的分野の在留資格である「技能」や「技術・人文知識・国際業務」等と同じであり,これらを永住と言わないのと同じです。一定の期間を設けて在留を許可するものであって,更新しなければならない。そして在留期間の更新については,当該期間内における外国人の活動状況等を厳格に審査し,これを適当と認めるに足りる相当の理由がなければ許可されないものです。
 先ほども言ったように,「特定技能2号」は,そもそも人手不足に対応するために外国人を受け入れるものであり,必要とされる人材が確保されたと認められる場合には,新たな受入れは行わないことはもとより,繰り返しになりますが,既に在留が認められている者についても,雇用契約の更新がなされない限りは,在留期間の更新は許可されないということです。
 このように永住という語幹が持つものとは相当違います。我が国で認められている高度な技能資格と替わるものではありません。そうしたことからすると,例えば,熟練した技能を持つと認定された外国人労働者には,日本での永住を事実上認めることが柱ということについては,私はミスリーディングであろうと思っています。そのような制度設計を採ることは考えていません。

【記者】
 雇用契約の更新をしなければ在留の延長を認めないといったようなお話ですが,同じようなことで技能実習生で雇用契約を切られて,強制帰国させられるといったことが多発していますが,期間を延長するかどうかは,入国した人自身と雇用者の関係ということなので,不当に更新されない場合もあると思うのですが,そういったことのチェックというのは行われるのでしょうか。そういったことの申立てなどを受けるような機関というのは,準備されるのでしょうか。

【大臣】
 二つありますが,まず一つは永住ではないということは繰り返し申し上げておきたいと思います。そして今お話になったのは,「特定技能2号」で稼働する方の保護を更新の際にどのようにということであると思いますが,外国人労働者の支援,保護については,これまでの仕組みも活用しながら,また,新たな仕組みの中でも考えていきたいと思っています。ただ,私が申し上げたいのは,「特定技能2号」というのは,その活動をするということにおいて在留できるという資格ですので,そういった活動をしていただくことが必要だというところを強調しておきたいと思います。
 今の質問の流れは,例えば,移民であるとか永住であるとか,そういう文脈とは違うのだということを説明するために申し上げたものです。

退去強制に関する番組に関する質疑について

【記者】
 10月6日(土)にフジテレビで「タイキョの瞬間」という番組が放送され,その中で摘発された技能実習生だとか,なぜ不法滞在にならざるを得なかったかとか説明抜きに,それから人権に配慮した入国管理局と言いながら,長期収容のことは紹介しないといった番組がありました。外国人差別を助長するような内容になっていたと思うのですが,これに東京入国管理局が番組制作に協力して,ツイッターで番組告知まで行っているのですけれども,大臣はこの番組のことや批判の記事については御存じでしょうか。それから番組に対するいろいろな批判の声があがっているのですが,その声と東京入国管理局の対応について,どのように考えていらっしゃるかお聞かせください。

【大臣】
 この番組,あるいは関連する記事については承知しています。しかし,報道機関が自ら取材を行い放映された番組ということであり,そうした番組内容に法務大臣としてコメントするということは,適切ではないと思っていますので,コメントは差し控えさせていただきたいと思います。