2018年11月26日

環境省 同時発表

本年11月19日月曜日から23日金曜日まで、スイス・ジュネーブにおいて「水銀に関する水俣条約第2回締約国会議」(COP2)が開催されました。会合には140を超える国や地域 から約900名が参加しました。
本会合では、事務レベルにより、条約の詳細なルール、事務局の組織体制等の運営に関する事項や技術的事項に関する議論が行われ、水銀の暫定的保管に係るガイドラインが採択されるなどの進捗がありました。

1.運営に係る事項

  • 水俣条約事務局をスイス・ジュネーブに置くこと、及び廃棄物・化学物質3条約事務局等との協力・調整の下、独立の事務局として運営されることが正式に決まりました。
  • 条約の資金メカニズム(地球環境ファシリティ及び能力形成及び技術援助を支援する特定の国際的な計画(SIP))について、条約の規定にもとづきレビューを進めることで合意しました。また、SIPについては、手続き規則及びプロジェクト審査のガイダンスが作成され、最初のプロジェクトが承認されたことが報告されました。
  • 水俣条約事務局予算について、2019年の支出見込みに比べて不足する分については、2018年からの持ち越し予算を充当することが決まりました。また、各締約国の拠出額については、2019年当初時点での締約国で分担するよう再配分することが決まりました。

2.技術的事項

(1)水銀の環境上適正な暫定的保管に関する指針

COP1以降、登録専門家によって検討された指針案がCOP2に提出され、各国の意見を反映の上、指針案を採択しました。

(2)水銀廃棄物の閾値

条約上の水銀廃棄物の対象範囲を規定する議論において、COP3に向けて会期間中に専門家会議を設置して作業を進めていくことを決定しました。

(3)条約の有効性評価

条約の有効性評価の枠組みにおいて必要となる評価指標等の設定について、COP1において設立された専門家による報告がCOP2に提出され、COP3に向けて引き続き作業を行うことを決定しました。

(4)汚染された場所の管理に関する手引き

条約事務局が専門家と協力してまとめた手引案が議論され、今後、追加的に条約事務局が情報収集し、改めて専門家から意見を求め、COP3の採択に向けて引き続き作業することを決定しました。

(5)水銀の放出源の特定に関する手引き

水銀の水及び土壌への放出源の特定とその目録の作成に関し、専門家グループを設立して作業を開始することが決まりました。

3.その他の事項

  • 水銀添加製品の貿易について、世界税関機構WCOが定めるHSコードによって水銀添加製品を識別可能にすべきとの提案がありました。議論の結果、水俣条約事務局がWCOと協議してHSコードの改善について提言報告書を作成し、締約国・関係機関に意見を求めた後、COP3に提出することが決定されました。
  • 条約第4条(8)では、条約附属書A(水銀添加製品)及び附属書B(水銀・水銀化合物を使用する製造工程)の見直しについて、条約が効力を生じた日から5年以内に再検討することを規定しているところ、見直し作業の手順の検討の提案等がありましたが、条約の効力が発生して1年をすぎたばかりであり時期尚早との見解が多数を占めました。

4.今後の予定

第3回締約国会議は、2019年11月にスイス・ジュネーブにて開催される予定です。

【参考1】第2回締約国会議の会議文書等

第2回締約国会議の会議文書等は、こちらのウェブサイト外部リンクから入手可能です。

【参考2】水銀に関する水俣条約

  1. 水銀及びその化合物の人為的な排出及び放出から人の健康及び環境を保護することを目的とし、水銀の採掘から貿易、使用、排出、放出、廃棄等に至るライフサイクル全体を包括的に規制する国際条約。平成25年10月10日、熊本市において開催された外交会議において採択。平成29年8月16日発効。発効時の締約国数は52、第2回締約国会議時点での締約国数は95、同じく締結国数は101。
  2. 我が国の締結は、平成27年5月22日、第189回通常国会において承認された。また、本条約の実施に必要な「水銀汚染防止法」及び「大気汚染防止法の一部を改正する法律」が同通常国会で可決・成立。我が国は、平成28年2月2日に受諾書を国連事務総長に寄託し、23番目の締結国となった。

【参考3】関連のウェブサイト

担当

製造産業局 化学物質管理課長 徳増
担当者:五十嵐、大関、山崎
電話:03-3501-1511(内線 3691~5)
03-3501-0080(直通)