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冒頭発言

米国による対イラン制裁適用(例外適用の発表)

【河野外務大臣】現地時間の5日になりますが,米国の国務省が国防授権法上の例外規定を日本に適用し,制裁が今後180日間,日本の金融機関に適用されない旨発表がありました。
 これまで累次の機会にわたり,米国に対して日本のエネルギーの安定供給や,特に日本の企業の活動に悪影響が及ぼされることがないように申入れを行なってまいりました。
 米国による今次の発表は,日本側のこうした基本的な立場を踏まえた決定と理解しております。今後も日米間で緊密に意見交換を続けていきたいと思っております。

米国による対イラン制裁適用

【読売新聞 梁田記者】米国による対イランの制裁の関係でお伺いしたいのですけれども,今回適用除外をしていく過程で,例えば欧州の国はそこの除外対象にはならなかったりですとか,あるいは中国,ロシアはこれからもイランと取引を続けていくということを言明したりとか,JCPOAに元々参加した国の中でも対イランをめぐってどんどん温度差と言いますか,距離感が広がっているように見受けられます。あくまでイランの核問題に対処するという意味において,現状について大臣としてはどのようなご認識でしょうか。また,核問題に対処するという意味で,日本はJCPOAの当事国ではありませんけれども,どのように振る舞うべきだとお考えか,特に米国に対してまたどのような働きかけが必要か,お考えを伺えればと思います。

【河野外務大臣】日本は,このJCPOAという枠組みが非常に大事なものだと思っておりますので,今後もこれを維持できるようにしてまいりたいと思っております。本来なら,米国にもJCPOAの枠組みに戻っていただきたいところではありますが,こういう事態になりましたので,まず日本の企業,そして日本のエネルギー安全保障に悪影響が出ないようにするということが大事だと思います。
 また,イランがJCPOAに残るためのインセンティブとして,日本としてできることはしっかりやっていかなければならないと思っております。他方,イランに関しましては,ミサイルの問題などもありますので,そうした問題については国際的な対話のテーブルに,イランにもきっちりとついてもらって議論してまいりたいと思います。

【NHK 奥住記者】冒頭お話があったように,今回,適用除外の期間が最長で180日間ということで,その点について今後どのように対応していくか教えてください。

【河野外務大臣】米国の今のルールでいくと,この適用除外の期間が最長で180日と決まっているわけですから,米国としてもそれ以上のことは言えないというのが現実だろうと思いますが,日本としてエネルギーの安全保障,並びに日本企業に対する悪影響が出ないように,今後とも米国側としっかり話合いはしていきたいと思います。

韓国大法院による日本企業に対する判決確定

【毎日新聞 秋山記者】先月30日の韓国での新日鉄住金への判決についてお伺いします。河野大臣は以前,第三国でも日本の立場を積極的に発信していく旨をおっしゃっていましたけれども,現在の取組状況と,今後どのように日本として,そういった国際社会に訴えかけていくか教えていただけますか。

【河野外務大臣】既に,各国の日本の大使館にそれぞれの国で政府に対する説明をしっかりやるようにということと,それぞれの国でメディアに対して,情報を発信していくというようにという指示を出しました。私(大臣)自身も先般,ブルームバーグのインタビューに答えて,少し日本の立場というのを世界にキャリーしてもらえるように努力していきたいと思っておりますが,今後とも,様々な方法で日本の主張,特にこれは二国間の問題ではなく,今の国際法に基づく国際秩序への挑戦であるということをはっきりと伝えていきたいと思っております。

【時事通信 越後記者】大臣,先週末にもご発言ありましたけれども,徴用工の判決については,補償はあくまでも韓国政府が行うべきだという考えを示されていますけれども,これは補償について韓国政府が賠償を肩代わりするというようなことを念頭に,ご発言されたものでしょうか。

【河野外務大臣】この問題については65年の請求権協定で,既に,完全かつ最終的に話がついておりますので,それ以降の補償についての話というのは韓国側が全て対応するということになっております。

【産経新聞 力武記者】この徴用工の判決についてですが,日本政府としては韓国側の対応を待つという姿勢だと思いますけれども,判決から1週間たつのですが,その間,韓国側のトップである文在寅(ムン・ジェイン)大統領からのこの判決に対する意見表明というのがまだ,全くないのですが,こうした韓国側の対応というか,こういう状態について,今,どのようにご覧になっていますでしょうか。

【河野外務大臣】当面,これは韓国側の問題というふうに,我々は認識をせざるを得ませんので,韓国側がしっかり対応してくれるものと思っております。

日EU・EPA

【日経新聞 林記者】今朝の閣議で,日EUのEPAの承認案が決定されましたけれども,今,アメリカと中国の貿易戦争が激化している中で,TPPの発効日も決まりまして,今回の承認案についての意義を改めてお願いします。

【河野外務大臣】既に,EU議会の委員会では,日本とのEPA,委員会で採択されたと伺っておりますので,EU側も年内には承認手続きは終わると理解しておりますので,日本としてもそれに遅れることなく,この臨時国会でご承認を頂けるようにしっかりと審議してまいりたいと思います。

米朝関係(米朝高官協議のNY開催)

【共同通信 福田記者】アメリカの国務省がポンペオ長官と金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長がニューヨークで会談する旨を発表しました。米朝の非核化のプロセスについて,今後期待されることをお願いします。

【河野外務大臣】シンガポールの共同声明の中にあるような,北朝鮮の完全な非核化というコミットメントをしっかり履行できるような話し合いが進んでくれることを期待したいと思います。

米国による対イラン制裁適用

【ロイター通信 月森記者】イラン制裁に関連してなんですけれども,日本のイランの原油の積みは10月以降停止していますけれども,今回のアメリカの決定により,何月くらいからイラン原油の積みが再開される見通しになったということなんでしょうか。それと,180日の期限が切れたあとというのはゼロになる理解でいいのか。最後に,前回のイランに対する制裁がかかっていたときには毎年,各国20%程度削減することが求められていたと思うんですけれども,もし,イラン原油の積みが再開するとしたら,それよりももっと厳しい大幅な削減の下,限定的に再開という見通しでいいのか,その点をお願いいたします。

【河野外務大臣】イラン原油は別に政府が輸入しているわけではございませんので,輸入している企業に聞いていただきたいと思います。先ほど申し上げましたように,米国の例外規定というのは,最長で法律で180日と決まっておりますので,とりあえず180日というアナウンスが行われたと理解しております。

【香港フェニックステレビ 李記者】韓国の徴用工問題の関連ですが,中国にも強制連行の問題がありました。2016年に三菱のマテリアルが中国の被害者と和解をして,基金を作って支払われるということで和解の形になっていたんですけれども,このことについては日本政府が,民間の自主的な解決であるというふうにスタンスを表明していましたけれども,今回のこの韓国の徴用工問題を経て,中国の強制連行のことを,日本政府のスタンスを改めて教えてください。

【河野外務大臣】特に変化はございません。

【香港フェニックステレビ 李記者】韓国では一部の報道では,中国でこういった和解もあったにも関わらず,韓国に対しては日本政府は今回の一連の反発があったと,中国と韓国の対応というのは対応に違いが出てきている理由というのは何なのかということをお聞かせください。

【河野外務大臣】65年の請求権協定で,この問題は完全かつ最終的に終わっておりますので,これは全て韓国側が対応されるものと思っております。

韓国造船業に関するWTO協定に基づく協議要請

【日経新聞 江渕記者】韓国政府による造船業界への公的支援をめぐって,日本政府がWTOへの提訴に向けた二国間協議を要請するという報道がありまして,今日の午前の会見で,石井国土交通大臣が紛争解決手続きを進めることも含めて関係省庁と最終的な調整を進めているとおっしゃっています。河野大臣のこの件に対するご見解をお願いします。

【河野外務大臣】韓国の造船業に対する公的支援というものに関するWTOへの協議要請を含めて,今,対応を協議をしているところでございますので,政府内で方針がまとまり次第,何らかの手を打つことになろうかと思います。

国連における核兵器禁止条約の採択

【中国新聞 田中記者】先週,国連総会第一委員会に核兵器禁止条約を推進するオーストリアなどが出した決議案がありまして,それに日本政府は反対票を投じました。橋渡し役という立場から考えると,棄権をしてほかのアプローチも尊重する姿勢を見せるというのも手だと思いますが,反対票をあえて投じられた理由をお教えください。

【河野外務大臣】残念ながら,核兵器禁止条約には核保有国は全く参加をしておりませんし,非核兵器国の中でも現実の脅威にさらされている国は入っておりません。そういう中で,核兵器禁止条約の加盟を推奨するという一方向だけの取組というのは,核兵器国並びに非核兵器国の間の,何て言うんでしょうか,距離感というのを広げるだけにとどまりかねないということから,日本政府としてこれまで核兵器禁止条約には参加しないという態度を貫いてまいりましたので,特にそのことについて違いはございません。

韓国大法院による日本企業に対する判決確定

【東亜日報 金記者】徴用工問題ですけど,韓国側が適切な対応をしなければ,次の段階に進むとおっしゃったんですけど,ICJ,国際裁判所以上のものがあるのですか。あれば何ですかと伺いたいです。

【河野外務大臣】この問題は1965年の請求権協定で,完全かつ最終的に終わった話を韓国の最高裁がこういう判決を出すという暴挙で,これは二国間の問題,法的基盤を根本から揺るがすような大きな問題であると同時に,国際法に基づく国際秩序に対する挑戦でもありますから,これは韓国側がきちんと適切に対応してくれるものと我々は今の時点で信じておりますが,それがなされない場合には,あらゆる手段を取る用意がございます。