平成30年9月18日(火曜日)
10時31分~10時46分
於:記者会見室

冒頭発言

おはようございます。私から冒頭2点申し上げます。

北海道の電力需給

まず北海道胆振東部地震関連で3点ございます。
昨日、北海道電力から資源エネルギー庁に対して、苫東厚真1号機の試運転を開始し、今日にも安定的な定格運転に移行する見込みであるとの報告がありました。苫東厚真1号機が安定的に稼働すれば、さらに35万キロワットの供給力が上積みされることになるわけであります。他の発電所にトラブル、停止等がなければ、電力需給はかなり安定化をするわけであります。したがって、安定的な定格運転が北海道電力によって確認をされれば、明日以降は需要減1割確保のための節電は必要なくなります。
今後は、例年のように冬に向けて無理のない範囲での節電への御協力をお願いしたいと思っています。もちろん、火力発電所や京極水力発電所の電源トラブル停止など万が一の事態が生じた場合には、改めて節電の在り方を含めて検討し、需給バランスの安定を図るための対応をとっていきたいと思っています。
そして、冬に向けては、苫東厚真発電所の2号機あるいは定期点検中の知内や苫小牧の火力発電所の稼働が見込まれて、供給力が積み増されていく予定であります。11月にも冬の電力の需給状況を確認して、その結果を踏まえて適切な対応をとってまいりたいと考えています。
2点目ですが、今回の北海道における大規模停電に関する検証作業につきましては、明日19日にも電力広域的運営推進機関において第三者委員会を設置して、21日金曜日にもその第1回会合を開催する予定となりました。政府としても、検証作業に参画することによって、検証結果を受けて必要な対応を講じていきたいと思います。
3点目ですが、先ほど申し上げましたとおり、今後は例年のように無理のない範囲での節電で足りるようになってまいりますので、これからはモードを切り替えて北海道経済の復興に本格的に経産省としても力を入れてまいりたいと考えています。
北海道庁の方からは、中小企業や農林水産業の復興支援、観光の需要回復に向けた支援などの御要望を頂いているところであります。復興に向けた具体的な取組内容については、これから北海道庁を中心に検討が始まるわけでありますけれども、この道庁の取組を観光庁や農水省など関係省庁、あるいは北海道の経済界ともしっかり連携をして経産省として全面的に支援をしてまいりたいと思います。

産業構造審議会2050経済社会構造部会

大きい2点目でありますが、2050年を見据えて、経済社会システム改革について検討するため、産構審に「2050経済社会構造部会」を設置して、9月21日から議論を開始いたします。
人生100年時代の到来や現役世代の急激な減少など、経済社会が大きく変化する中で経済社会の持続可能性を確保するため、民間活力の活用や個人の努力の応援によって、ダイナミックに経済社会の構造を変えていくという議論を進めていきたいと思います。
具体的には、行動経済学の「ナッジ」の考え方の活用や、予防・健康インセンティブの強化などによって、国民一人一人の賢い選択を応援することで、幾つになっても意欲さえあれば多様で柔軟に働くことができる生涯現役社会を作る必要があると考えています。
今回の部会は、こうした明るい社会保障改革について検討をしていただいて、来年夏までに取りまとめを行う予定となっています。総理が主催される未来投資会議では、新たに高齢者雇用の促進や予防・健康づくりについても審議を開始する予定だと聞いておりまして、この産構審での検討結果は、私から未来投資会議に報告をして、政府全体の方針に反映をしてまいりたいと思っております。
この点の詳細については、後ほど、事務方から説明をさせます。

質疑応答

北海道の電力需給

Q:本日から節電目標が緩和されるということだったんですけれども、苫東厚真の試運転は今日にも安定的運転が始まるということでフェーズが変わったように感じます。経産省として、今後、電力システムの改革など具体的な政策対応が必要か、お考えをお聞かせください。

A:まず今日からは苫東厚真1号機の完全な稼働が確認をされれば、いわゆる無理のない範囲での節電ということで、例年、北海道の皆さんには冬の時期お願いをしているレベルの節電で対応できるということになってくるわけであります。
今後、電力システムの強靱化に向けたいろいろな政策的検討は非常に重要だと思っています。特に、先ほども申し上げました第三者委員会による検証作業が、いよいよ21日からスタートいたしますので、この検証作業の結果を踏まえて全国の電力インフラを総点検して、電力供給の強靱化にしっかりと対応してまいりたいと考えます。

米中貿易摩擦

Q:もう一点、トランプ大統領が対中制裁の第3弾を発表しました。日本への影響について御見解をお願いします。

A:これはもう、これまで何度も申し上げてまいりましたが、GDP世界1位、2位のアメリカ、中国両国が、世界経済の安定的な成長と発展につながる関係を構築すること、これは日本を含めアジアだけではなくて世界全体にとって極めて重要なことであります。
ところが、残念ながら現状、この1位と2位の経済大国がお互い貿易制限的な措置を打ち合っているという状況であります。今回さらにトランプ大統領が追加関税の発動を決定したということは、極めて残念であります。
広範な貿易制限措置は、世界経済の成長の深刻な足かせになるだけではなくて、グローバルサプライチェーンの中で米中以外、当事国以外にも予期しない悪影響をもたらす可能性があると考えています。
日本企業にとっても中国に部品を輸出し、またそれを中国からアメリカへというようなケース、これが結構小さくないわけであります。日本企業にとっても、どういった影響が出てくるかということは、我々としてもしっかりと注視をしてまいりたいと思います。

北海道の電力需給

Q:苫東厚真の2号機なんですけれども、当初からちょっと予定が早まって9月末にも稼働するというような報道もあるんですけれども、2号機について現状分かっていることがあれば教えてください。

A:2号機、4号機については、現時点では、それぞれ10月中旬以降、そして11月以降というこれまでの復旧見通し、まだ北海道電力は変更しておりません。そういう意味で、現時点では、まだ10月中旬以降ということになると思います。
今日はともかく1号機をしっかり安定的に稼働させることに集中をすることが重要だと思っています。ただ、これで1号機が安定的に稼働すれば、当然その人的、技術的リソースを2号機の復旧に投入できるという面もあると思いますので、そういう意味で2号機の稼働が早まること、これは私としても強く期待をしたいと思っています。
いずれにしても、北海道電力においては、安全確保を図るということが前提になりますが、最大限の早期復旧に取り組んでいただきたいと思っています。

苫東厚真発電所の耐震震度

Q:苫東厚真発電所の関係で、苫東厚真発電所の耐震震度は5程度だったとのことですけれども、厚真町は今回、震度7の地震に見舞われました。発電所の地震の想定は十分だったのか、大臣のお考えをお願いします。

A:もともと、これは苫東厚真だけではなくて火力発電所一般について申し上げますけれども、火力発電所、特に石炭火力ですね、は地震によって、例えばタービンとかボイラーが破損することになったとしても、人命とか周辺の地域に与える影響は相対的に低い、これは原発とか、あるいはLNGと比べてということになりますが、相対的に人命、地域への影響の可能性が低いという考え方から、耐震性に関して国の基本的な考え方は、発電所が運転している間、ですから40年とか50年の期間の間に1から2回程度発生する可能性のある地震に対しては、機能に重大な支障が生じないようにするということ。そして、発生確率が低い直下型地震などに起因する巨大地震に対しては、発電所の設備をそのまま機能を維持するというよりは、長期的、広域的な供給支障が生じないよう電力供給の代替性の確保ですとか多重化といった手段によって、総合的にシステムの機能が確保されること、これが必要だ、これが火力発電所に対する耐震機能の考え方であります。
こうした考え方を踏まえて、苫東厚真発電所については、火力発電所の耐震設計規程というものが定められています。これに基づいて、震度5相当の地震に耐えられるように設計されていたわけであります。
今回の北海道における大規模停電については、苫東厚真発電所が巨大地震によって停止した場合でも、長期的かつ広域的に停電が生じないよう、道内の電力供給システムが総合的に機能を維持できるようになっていたのかどうかということ、ここを検証することが極めて重要だと思っておりまして、この点については、これから第三者委員会で精力的に御議論を頂くことになるのだろうと思っています。

米中貿易摩擦

Q:対中制裁についてなんですけれども、これから影響を注視ということですが、直近500億ドル同士の制裁がかけられている中で、日本メーカーの一部では生産移転の検討などもしている企業もあるようで、今直近、足もと日本企業の影響と、今後2,000億ドルという制裁が科されることになったときに、どういった企業、業種に影響が出てくるのか、このあたりの見通しについて教えてください。

A:この点は、非常にグローバルなサプライチェーンが複雑に日本企業の場合、構築をされていますので、一概に今の段階で金額とか、あるいはこれから追加分でどれぐらいの影響、どういう業種へというのは、ちょっと一概にはなかなか申し上げられないというのが現状であります。もちろん我々もそれを放置しているわけではなくて、詳細に企業ともコミュニケーションを積み重ねながら、しっかり影響は把握した上で対応は検討していきたいと思っています。

Q:先ほど大臣がおっしゃいました日本からの部品の中国への影響なんですけれども、それは特にどういう業種の部品を心配されているのか。

A:今申し上げたとおり、サプライチェーンは本当に複雑でありますので、単純にどの業種という形での把握は、なかなかまだ難しいと思っています。

日本原燃再処理工場の審査状況

Q:日本原燃の再処理工場が規制委員会の審査に合格する見通しとなりましたが、政府が進める核燃料サイクルに与える影響について、大臣の見解をお願いします。

A:共同通信さんにお答えする前に一言申し上げたいと思いますが、以前報道された、今までは危機対応状況でしたから私もきちっと対応させていただきましたが、今日は一言申し上げさせていただきますが、MOX燃料の再処理を政府がやめたという、この誤報はぜひ訂正をしていただきたいと思っています。
共同通信や記者さんがどう感じたか、それを主観的に書いていただくことは結構ですけれども、経済産業省として、会計の処理を法律上変えたからといって、MOX燃料の再処理の政策を変えたということは全くありません。これは他社も追いかけておられないわけでありますよね。
共同通信というのは、これは地方紙がみんなキャリーをされるわけであります。この誤報のニュースも地方紙に大きく取り上げられて、これはエネルギー政策に対しても非常に影響を与えていると思います。我々は、これは電事連も含めて事実と違うということを明確に申し上げているわけですから、ここはしっかりと訂正をしていただきたいということを、まず強く申し上げた上で今の御質問にお答えをいたします。
日本原燃の六ヶ所再処理工場については、現在、原子力規制委員会において新規制基準に基づく適合審査が継続中でありまして、私からコメントをすることは控えたいと思います。
いずれにせよ、エネルギー基本計画にも記載しているとおり、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の量の減少や放射能レベルの低減等のメリットがあることから、核燃料サイクルをしっかりと推進してまいりたいと思います。

以上

最終更新日:2018年9月21日