平成30年10月2日(火曜日)
12時05分~12時26分
於:記者会見室

冒頭発言

在任期間についての所感

最初、私の方から内閣改造に当たって、在任期間を振り返っての所感を申し上げたいというふうに思います。

今回の在任期間中は、グローバルな視点に立つこと、また現場主義でやっていくこと、そして実行と実現を重視すること、この方針で取り組んでまいりました。

まず、福島復興と福島第一原発の廃炉・汚染水対策、これを最重要対策として取り組みました。特に就任以降、9回福島を訪問いたしまして、現場の状況、現場の声を重視した取組をやってまいりました。また、福島の復興を本格化させるという意味で、ロボットテストフィールドの一部開所ですとか、水素製造工場の着工ということを実現してまいりました。廃炉・汚染水対策についても、中長期ロードマップに基づいて着実に実施をしてきたところであります。

また、この在任期間中、大規模災害が頻発をいたしました。それへの対応ということでありますが、7月の西日本豪雨、8月の台風20号、9月の台風21号、そして北海道胆振東部地震への対応などがありました。また、最近では台風24号もあったわけであります。

停電や支援物資の情報を、ソーシャルネットワークサービスを活用してリアルタイム発信するなどしてまいりました。また、被災現場からの要望も踏まえて、先手、先手で対応をしてまいりました。

西日本豪雨においては、プッシュ型支援として、避難所への迅速なエアコン設置ですとか、あるいは被災した中小・小規模事業者に対して、寄り添い型のマンツーマン支援を行ってまいりました。また、相次ぐ台風に関しては、被災中小企業訪問をし、必要な支援策を手当てしてまいりました。また、関係省庁と連携をして、これは台風21号ということになります。また、24号については、まだ進行中でありますが、長期化した停電の解消や対応に取り組んでまいりました。

また、北海道胆振東部地震においては、いわゆる初めてのブラックアウトということを経験したわけでありますけれども、計画停電を回避するための2割の節電要請を行いました。また、迅速な復旧によって、2週間で節電要請を解消することもできました。また、これも現在進行中でありますが、この停電に関する検証委員会立ち上げとインフラ総点検を指示しているところであります。

また、対外経済政策でありますけれども、日本が自由貿易の旗手として精力的に役割を果たせるよう活動をしてまいりました。

私の就任以来、海外出張は36回になります。日米欧三極貿易大臣会合を日本の提唱で立ち上げまして、今日まで4回開催をしてきております。WTO改革ですとか、第三国による市場歪曲措置への対応、また強制技術移転、デジタル貿易の課題を議論してまいりました。先週の会合では、具体的対処方針に合意をしたところであります。

また、日米関係については、ライトハイザー通商代表やロス商務長官といったアメリカ側のカウンターパートと信頼関係を構築してまいりました。マルチ、バイの課題について議論を重ねる一方で、アメリカの輸入制限措置について、日本の立場を強く申し入れてきているところであります。

また、RCEP閣僚会合については、ASEAN以外の国で日本が初めてホストをするということをやりました。東京会合を7月に開催をいたしました。また、8月のシンガポール会合では年内の実質的な妥結を目指すということで一致し、その妥結の内容についても確認を行ったところであります。

また、ロシア経済分野協力担当大臣としては、先ほどの36回の海外出張のうち、11回はロシアを訪ねております。8項目の日ロ協力プランのもと、150件以上の民間プロジェクト、半数以上で具体的なアクションも起こるという状況になっております。

その他日ASEAN経済大臣会合において、第4次産業革命イニシアティブを提案したり、あるいは日アフリカ官民経済フォーラムを開催して、官民から約2,000名が参加をするというようなこともありました。

また、万博招致でありますが、いよいよ11月に投票が迫っているわけでありますが、特に重要と言われた6月のBIE総会でのプレゼンテーション、私自らが登壇をして各国にアピールをしたところであります。

また、経済政策についてでありますけれども、Connectes Industriesという考え方と、そして安倍総理の大きな方針である生産性革命に取り組んでまいりました。
Connectes Industries懇談会を立ち上げまして、自動走行、モビリティなど、重点5分野でデータ連携、利活用などを深掘りしてまいりました。また、自動車新時代戦略会議を立ち上げまして、Well-to-Wheel Zero Emissionを目指す方針を打ち出させていただきました。

また、生産性向上特別措置法と産業競争力強化法等の一部改正法の成立によりまして、規制のサンドボックス制度を創設したり、あるいはリスクマネー供給強化のために産革機構を改組するということも行いました。

また、J-Startup企業を選定いたしまして、グローバルに勝てるスタートアップ企業を有識者の皆さんに選定していただいて、その企業に優先的に、集中的に支援をしていく枠組みを立ち上げました。

また、地域や中小企業対策としては、中小企業・小規模事業者においても生産性革命を後押しするということで、総額1,500億円のものづくり・サービス補助金ですとか、固定資産税ゼロの仕組みを実現いたしました。地域未来牽引企業サミットを福島県会津若松市と熊本県熊本市で開催をするなどもいたしました。また、事業承継税制についても抜本的な拡充を行うことができました。

エネルギー政策については、まずエネルギー基本計画の改訂を行いまして、2030年のエネルギーミックスを維持しながらも、再エネを主力電源とするということを明確にさせていただきました。

また、日本主導で主要国の閣僚、民間企業が参加する水素閣僚会議の開催を決定させていただきました。

UAEにも3回出張しておりまして、ムハンマド皇太子やジャーベル大臣と信頼関係を構築し、アブダビの海上権益40年間、10%の権益を獲得すること成功いたしました。

また、働き方改革でありますけれども、まず隗より始めよの精神で、国会業務の徹底的な効率化を行いました。今、経済産業省では、国会答弁の午後11時締め切りを徹底しておりまして、徹夜が当たり前の答弁作りの仕事を根本的に改革させていただきました。また、テレワーク・デイズを実施いたしまして、私も先頭を切ってやらせていただいておりますけれども、経済産業省職員のテレワーク実施者数は延べ4,000人を超える状況になっております。

また、プレミアムフライデー、まだまだ浸透には課題が残っておりますけれども、毎月の過ごし方を提案して、できるだけ多くの皆さんの参加を促し、定着を目指すという活動も行ってまいりました。

いろいろとたくさんありましたけれども、本当に充実をした1年2カ月だったというふうに思っております。皆さんにもいろいろと御指導いただいたことを感謝申し上げたいと思います。

私からは以上です。

質疑応答

通商交渉等の政策課題

Q:任期中の振り返りは、今、大臣から言及がありましたが、改造後の政策課題についても教えていただきたいと思います。

次の大臣、あるいは大臣続投かもしれませんが、どういった施策が重要になるとお考えでしょうか。特に通商分野ではRCEP交渉が大詰めほか、日米の貿易交渉も本格化します。通商交渉について、どういった点に留意して臨んでいくべきだとお考えでしょうか。

A:私もいろいろなマルチの交渉の場に出ておりますけれども、まさにこの今、通商交渉においては、日本は自由貿易の旗手の立場ということになっております。志を同じくする国々としっかり連携をし、信頼関係を構築して、この保護主義の流れが強まる中で、自由貿易体制をしっかりと引っ張っていかなければいけないというふうに思っています。

まずは、TPP11と日EU・EPAの早期発効を目指すことが重要だと、これは茂木担当大臣もこの後どうなるか分かりませんが、担当大臣中心に行われるのであろうと思っております。経済産業省としては、RCEPの年内の実質的な妥結をしっかりと目指していかなければいけないというふうに思っております。

また、TAGの交渉もこれから進んでいくわけでありますけれども、経済産業省は特に自動車という非常に重要な部門を抱えているわけですから、しっかりとこのTAGの交渉もバックアップをしていくということが重要だと思います。

それと、この中で最も非常に今価値を持っているのが日米EUの三極貿易大臣会合だというふうに思っています。この場をフル活用して、WTO改革ですとか、あるいは補助金ですとか、デジタル貿易といったハイレベルのルール形成を日本が主導していくことも重要だと思いますし、特に来年はG20がありますので、このG20をこうしたルールづくりの場として活用していくことも重要かというふうに思っております。

また、国内の経済問題については、手掛けてきてまた道半ばなものがたくさんあるわけでありますが、特にここから1年重要なポイントという点でいけば、社会保障改革に関して、経済産業省としてもしっかり関与をしていくということが重要だというふうに思います。

特に今、民間のいろいろな健康づくりとか、病気になるのを予防するサービスがたくさん出てきているわけでありますが、またそれに向けてのこういうウェアラブル端末のようなツールもたくさん出てきています。社会保障をきちっとビジネスの感覚で捉えて、この中からまた新たな産業を生み出して成長につなげていく、そして結果として国民が健康でいられる。あるいは医療費も抑制をできるということを経済産業省も厚生労働省に任せきるのでなくて、経済産業省としてもしっかり考えていくということが非常に重要になっていくのではないかというふうに思っております。

地方創生

Q:冒頭言及されたように、事業承継について力を入れてこられたかと思うのですけれども、ほかにも農商工連携など、地域振興に御尽力されたかと思うのですが、留任かそうでないかに関わらず教えていただきたいのですが、今後経済産業省として地方創生、農業活性化、地域活性化に果たすべき役割というのを教えていただけますか。

A:一つは、まず6次産業化というのが非常に重要だというふうに思っています。その過程で我々が用意をさせていただいているものづくりサービス補助金ですとか、あるいはIT補助金をぜひフル活用していただいても農業は農業、商工業は商工業でばらばらで取り組むのではなくて、6次産業という形で、しかも生産性を高めて取り組んでいただくということが重要だというふうに思いますし、これからTPP11、日EUEPAの発効が迫ってくるわけでありますけれども、そういった中で日本がしっかりと日本の農業が逆に輸出できる立場になるように、今、年間で1兆円の目標を目指して頑張っているわけでありますけれども、この取組を我々もジェトロ等も協力を得ながら、進めていきたいというふうに思っています。

台風24号

Q:昨日までの台風で、静岡県内ではまだ20万戸近い停電がありますけれども、経済産業省としての対応や原因とか、復旧の目途がありましたら教えてください。

A:これは基本的には今、静岡県で起こっている大規模な停電は、21号で関西地方、中部地方で経験した停電被害と極めて似ているのではないかなというふうに思っています。具体的には電線が切れたり、あるいは電柱そのものが倒れて停電になっているという状況であります。

電線をつないだり、電柱を建て直したりという工事、これはもちろん人海戦術でやっていくわけですが、そこにアプローチするための道路の啓開がなかなか進まないというのが21号のときに復旧に一部、相当時間が掛かった大きな原因だというふうに考えております。

今回の24号の被害を受けて、我々としては電力事業者と国土交通省、あるいは自治体の間にしっかり立って、必要なところの道路啓開を優先的に進めていくことによって、一刻も早く停電から復旧できるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

今のところまだ見込みは、これは電力事業者の方からしっかり発表されるというふうに思っております。

NAFTA再交渉

Q:任期中は大きな課題となった通商問題に関連して、このほどNAFTAが3国の間で合意に至ったということで、これは日本のサプライチェーンなどにも大きな影響を与える関係があると思いますが、影響をどのように捉えているでしょうか。

A:まず、アメリカ、メキシコ、カナダの協定が合意に達したことは承知をしておりまして、こういう合意が多国的貿易体制を補完して、自由貿易の更なる推進につながることを期待したいというふうに思っております。

日本企業への影響等については、まだTAGの交渉動向なども見極めなければいけません。一概に申し上げることは困難だと思いますけれども、現地の進出日系企業の声もよく聞きながら、引き続き精査していきたいと思います。まだ合意のあらまししか分かりません。いったい、詳細どういう形で運用されていくのか、そういったことが分からないと、なかなか日本企業への影響まではっきりと申し上げることはできないのだろうと思っています。

Q:このうち数量規制、260万台、これは極めて管理貿易的な手法だと思いますが、これに対しての受け止めはいかがでしょうか。

A:いかなる貿易上の合意、あるいはそれに基づく措置もWTOに整合していかなければならないと、これが日本の立場であります。今回の合意がどうかということは、今後よく見極めていきたいというふうに思っています。

消費増税

Q:来年10月に消費増税が予定されていると思いますけれども、中小企業等で非常に不安というのはまだ解消されていないように感じます。

改めて大臣はどういう所感で、どういう姿勢でその対策に取り組んでいかれるか、今後の政権の重要な課題だと思うのですけれども、お考えをお聞かせください。

A:共同通信さんには、今の質問にお答えする前に、まず重ねて先日の事実上、MOX再処理を断念とする記事について、訂正を強く求めたいというふうに思います。

MOX再処理を断念できる主体は、政府か電力事業者しか論理的にあり得ないわけであります。その政府と電力事業者が明確に否定している以上、いくら事実上ということで体裁を取り繕っていても、これは看過することができないわけであります。これは共同通信社としての御意見や関係者が語るところによればと書くのであれば、まだ理解できるわけですが、政府や電力会社が事実上断念と報じたことは、これは事実として間違っているわけでありまして、引き続き訂正を強く求めたいと思います。各地の地方紙に大きく掲載をされておりまして、大きな影響を与えているということ、これは我々は看過することができないというふうに思っております。

その上で今の質問にお答えをすると、来年は中小企業にとっては、たしかに消費増税というのは、なかなか大変なところがあるというふうに思っております。我々としては、例えばレジ端末の導入を支援するとか、そういったきめ細やかな支援において、中小企業の経営に影響が出ないように、極力努めてまいりたいというふうに思っております。

北海道胆振地方地震

Q:北海道の地震で再生可能エネルギーが活用されたり、うまく活用できなかったりことがありましたけれども、総括として大臣の評価はどうお考えですか。

A:北海道はもともと風力や太陽光、再生可能エネルギーの導入がかなり進んでいる地域だというふうに思っております。しかし、一方で再生可能エネルギーで電力を供給するときは、必ず調整力がいるということであります。

大規模停電の中で、そして当初は北本連系線の60万キロワットも使えないという状況、あるいは使えるようになったとしても、それは給電そのものに使っていかなければいけないという状況の中で、調整力がない。すると、太陽光エネルギーや風力発電は使えないという現実に直面をしたというのが今回の事態から、我々がもともと調整力がないとだめだということは分かっていたわけですが、改めてそのことを痛感したわけであります。

今回、私、先日までの出張で風力を大量に導入をしているスペインを見てまいりました。調整力に関して、いろいろな制度的、あるいは技術的な工夫がしっかりと導入をされている。スペインもヨーロッパにはあるのですが、他国との連系線はあまり太くないという意味では、島国日本とあまり条件が変わらないわけでありますが、いろいろな形で調整力確保の取組をされておりました。

我々も今後、再生可能エネルギーを主力電源としていく中で、この調整力をどうするか、あるいは蓄電といった技術をどうするか、再生可能エネルギーを主力電源にしていくためのいろいろな取組を加速しなければいけないということを痛感しております。

以上

最終更新日:2018年10月3日