平成30年10月5日(金曜日)
10時41分~10時56分
於:記者会見室

冒頭発言

副大臣・大臣政務官の紹介

おはようございます。冒頭、私から1点申し上げます。
4日付で経済産業省の副大臣・政務官が正式に決定し、新たな体制が発足をいたしました。
関芳弘副大臣、磯﨑仁彦副大臣、石川昭政政務官、滝波宏文政務官が就任をいたしました。いずれの方も経済産業政策に深い経験と知見をお持ちで、私としても大変頼もしく感じているところであります。
総理からの御指示も踏まえて、5人が一丸となって着実に経済産業政策や対外政策を進めてまいりたいと思います。
私からは以上です。

質疑応答

留任の抱負

Q:経産大臣留任となりましたが、今後の抱負、特にどんな分野を重視していきたいとお考えか、お願いします。

A:経産大臣として、引き続き最重要課題であります福島復興、廃炉・汚染水対策に着実に取り組んでまいります。
また、成長戦略としては、「Connected Industries」の社会実装、生涯現役社会の実現に向けた「明るい社会保障改革」の実現、そして来年10月の消費税引き上げに向けた需要の平準化、水素の利活用などエネルギー転換・脱炭素化を進めながら、環境と経済成長の好循環の実現を目指すということであります。
また、中小企業・小規模事業者の生産性向上のため、ものづくり企業などの設備投資支援ですとか事業承継の促進、そして地域経済を牽引する企業の集中的支援を進めてまいりたいと考えています。
また、対外経済政策では、RCEPの年内実質妥結、日米欧が連携をしてWTO改革や第三国の市場歪曲措置への対処、また米国や中国などとの貿易・投資の更なる拡大、そしてロシアとの「経済協力プラン」の具体化を進めてまいりたいと思っています。
あわせて、頻発する大規模災害に対応するためエネルギーインフラを総点検をして、強靱な供給体制の構築、そして情報発信の徹底、また中小企業におけるBCP、事業継続計画の策定支援を行ってまいりたいと思っています。
引き続き、内閣の一員として全力を尽くしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

スペイン出張

Q:もう一点、再エネが普及しているスペインに出張されましたが、日本での再エネの主力電源化に向けてどう活かしていくか、お考えをお願いします。

A:日本では、再エネを主力電源化していくためには、特に調整力の確保が必要だということを先日のスペインの訪問で改めて実感をしたところであります。
スペインでは、調整力確保のために制度的、技術的な工夫が行われているわけでありまして、その現場を実際に視察をさせていただきました。具体的には、大手電力会社が全土の再生可能エネルギーをリアルタイムにモニタリングをして、制御をして、そして火力発電ですとか水力発電といったものと組み合わせて、電力市場を通じて調整しながら供給をしている、その実態をまさにオペレーションセンターを見てきたわけでありまして、今後の日本の再エネ導入を進めていくに当たっても大変示唆に富むものであったと思っています。
ただ、そのまま日本に当てはめられるわけではないと思いますので、スペインの事例を始め各国の事例に学びながらも、日本としての再エネの主力電源化に向けた取組を着実に進めてまいりたいと思っています。

九州電力の再エネ出力制御

Q:再エネに絡んでなんですが、九州電力で今月にも再生エネルギーの出力制御が行われることが検討されております。先ほどの調整力の話にもなるんですが、大型の蓄電池などの導入がまだまだ進まない中で、こうした出力制御というのは常態化していくかとも思われるんですが、そのことについて所感をお聞かせください。

A:特に九州地方では、太陽光発電を中心とした再エネの導入が急速に進んでいるわけであります。特にこの時期、冷房需要が減少していくということ、また天気がいいケースが多いということで、太陽光発電の量が非常に増加をして、場合によっては九州全体の電気の供給量が需要量を上回るという事態も想定をされるわけであります。そういったことが起こった場合には、まずは火力発電の出力制御ですとか、あるいは揚水発電の活用に加えて、今週月曜日に初めて実施をされた地域間連系線を活用した他地域への送電を行うなど、あらゆる対策を講ずることとなっています。
そういった対策を全部講じた上でも、それでも電気の供給量が需要量を上回る場合には、再エネ導入拡大に資する対応として、以前からルール化をされているとおり、電気の需要と供給のバランスを維持するために再エネの出力制御を行うことになるわけであります。
先ほどお話ししたスペインの事例でも、これは一つの会社の中で行われているというケースではありますけれども、やはり再エネの供給量が需要を上回った場合には、やはり何らかの供給の調整というものが行われているわけであります。日本の場合は会社をまたがってということになるわけであります。
いずれにしても、この出力制御が行われる場合は、しっかりと透明性、公平性が確保されることが非常に重要だと思っておりますし、万が一こういった制御が行われた場合には、国の審議会等でそういった透明性、公平性をしっかりと検証をしてまいりたいと考えています。

北海道胆振東部地震

Q:ちょうど明日で胆振東部地震発生から1カ月となりますけれども、まず今、電力需給の現状をどう見ているのかについてお伺いします。

A:北海道エリアの電力需給状況については、苫東厚真発電所1号機が復旧をした9月19日以降、安定が続いておりまして、例年どおり無理のない範囲での節電の御協力をお願いしている、そのレベルで対応できているというのが現状でございます。

Q:もう一点、今回、胆振東部地震の後に国内で初めてのブラックアウトが発生したということなんですけれども、今後、国として、この北海道電力の経営責任、これを明確にしていくという考えはありますか。

A:北海道電力の経営責任については、まずは第三者による検証委員会による検証結果を踏まえて、経営判断に関するものだったのかどうか、経営判断によって回避できるものだったのかどうかということを見極めていくことが重要だと思っております。そういう意味で、現時点において予断を持って申し上げることは控えさせていただきたいと思います。

Q:先ほども北海道で地震があったんですけれども、その影響は特にあるかどうか、お伺いします。

A:現時点、私が報告を受けている限りでは、少なくとも発電所に関しては、苫東厚真あるいは泊原発等、発電所に関しては異常は起こっていないということであります。現時点で受けている報告は、そういうことでございます。

日米通商交渉

Q:アメリカの貿易の関係なんですけれども、4日にパーデュー米農務長官が日本との通商交渉で、日欧EPA以上の農産品関税引き下げを求める考えを示しました。また、ペンス副大統領は4日の演説で、日本と歴史的な二国間の自由貿易協定に関する交渉を始めると言いました。日本の先の日米首脳合意とは大分変わっているということで波紋を呼んでおりますが、大臣の受け止めをお願いします。

A:共同通信さんの御質問にお答えする前に、まず先日の事実上、MOX再処理を断念とする記事について、重ねて訂正を強く求めたいと思います。もうこうやって会見で申し上げるのも4回目になるわけであります。資源エネルギー庁からも文書で抗議をしているところでありますが、共同通信社がいまだに訂正されていないことについては大変残念に思います。
報道各社が政府の対策、政策に対して社説などで反対の御意見も含めて示していただくということは極めて健全であって、民主主義にとって重要な報道機関としての機能だと思います。しかし、その議論の大前提として、事実を正確に認識、共有することが不可欠だと思っております。
多くの地方紙は、共同通信の配信をよりどころとして社説も展開しているわけであります。地方紙も含めて議論を非常に混乱をさせたわけでありますので、一刻も早い記事の訂正を重ねて求めたいと思います。
その上で今の御質問にお答えをいたしますけれども、あくまでもこれは茂木大臣が何度も御説明をされているとおり、これから日米で協議をしていく協定は、包括的FTAではないと理解をしております。
また、農産品に関しては、何よりも先日の首脳合意で合意されたこと、紙で発表されたことが極めて重要だと思っておりまして、両国が議論を行うに当たっては、日本として農産品について過去の経済連携協定で約束した状況、内容が最大限であるとの立場を米側も尊重、リスペクトするということが明記をされているわけであります。これが紙が出ているわけでありますから、そのことに尽きるのではないかと思っています。
日本としては、最終的にも、この首脳間で合意された内容に反する合意はしないという旨を明確にアメリカ側に伝えているわけでありますから、国民から懸念がない形で今後の交渉を行える環境を整えられているものと考えています。

MOX燃料再処理

Q:先ほど大臣の共同さんへのMOX再処理の関連なんですけれども、そのMOX再処理というのは、今延期が続いている再処理工場では再処理できないもので、第二再処理工場の建設が必要なのですが、この第二再処理工場の建設の実現の見通しは、それも含めてMOX再処理の実現の見通しというのは今どのようになっているでしょうか。

A:まず技術的な問題よりも政策的の問題として、これはエネルギー基本計画にも明記をしているとおり、使用済MOX燃料の処理・処分の方策について、発生状況とその保管状況、再処理技術の動向、関係自治体の意向などを踏まえながら、引き続き研究開発に取り組みつつ検討を進めるというふうに、まず我々の閣議決定されているエネルギー基本計画に明記をされているわけであります。
実現の見通しですとか、具体的な第二再処理工場、これができないと再処理はできないわけでありますが、第二再処理工場の建設スケジュールなどについては、まだ定まっておりませんが、これはエネルギー基本計画に沿って今後しっかりと検討をしていくべき課題だと考えております。

エネルギーインフラの強靱化

Q:先ほど大臣がおっしゃったエネルギーのインフラ、エネルギーのインフラに関して、電力も含めてさまざまな災害、新しい形の災害に対応し得るような対応策を考えていくということになるんでしょうけれども、どういう視点で、例えば停電の話もそうでしょうけれども、どういう視点でやろうとされているんでしょうか。

A:何か一つの方策でエネルギー供給が強靱化されるとは考えていませんので、発電、送電網、配電網、いろんな形で、やはり一定の冗長性を持たせるという方向性で議論を進めていかなければいけないんではないかと思っています。ただ、当然、冗長性を持つという場合には、費用というものが発生するわけですから、その負担の在り方についても議論をしていかなければいけないと思っています。
いずれにしても、総理から指示が出て、今エネルギーも含むインフラの強靱化についての議論を、検討を進めているわけでありますから、その中でしっかりと方向性を示していきたいと思っています。

以上

最終更新日:2018年10月5日