平成30年11月6日(火)

 今朝の閣議において法務省関係の法律案である「裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案」及び「検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
 これらについては,今国会における成立に向け,慎重かつ丁寧な御審議をお願いしたいと考えています。
 この他,所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の施行日を決める政令及び同法施行令,主意書に対する答弁書2件が閣議決定されました。
 次に,明るい話題ですが,2020年4月に京都で開催される国連最大規模の犯罪防止・刑事司法分野における国際会議である第14回国際連合犯罪防止刑事司法会議,通称「京都コングレス」のロゴマークを決定しましたので,皆様に御紹介します。
 京都コングレスのロゴマークについては,先月,法務省公式ツイッターを利用した人気投票を実施しました。非常に多くの方に投票いただき,投票いただいた皆様に感謝申し上げます。
 その中で,最も投票が多かった「桜」をモチーフとしたこのマークを,京都コングレスのロゴマークとすることに決定しました。これは日本を代表する花である「桜」のイメージと,京都コングレスの全体テーマであるSDGsのカラーホイール,そして国連のコングレスのロゴマークを組み合わせたものです。
 コングレスが開催される4月は,桜の季節です。桜は日本を代表する花として国際的に知られており,また,京都をイメージさせる花でもあります。
 今後,この公式ロゴマークを効果的に活用して,国連のこの分野最大の会議である京都コングレス開催の意義を広く皆様に知っていただき,会議開催を成功に導いていきたいと考えています。

新たな外国人材の受入れに関する質疑について

【記者】
 外国人の社会保障分野での準備が来年4月に間に合わないのではないかという指摘も一部あります。今後の見通しを改めてお願いします。

【大臣】
 御指摘の点については,現在,保険制度を所管する厚生労働省において,鋭意検討を進めているものと承知しています。
 社会保険については,既に外国人労働者も対象ということで,日本人労働者と等しく適用されるものです。
 他方,外国人が母国に残した家族も社会保険の適用対象とするかという議論があることも承知しています。
 そういった中で法務省としては,厚生労働省に対し,特定技能外国人の受入制度について,情報提供をしっかり行い,緊密に連携してまいりたいと考えています。

【記者】
 大臣は昨日の予算委員会で,受入れ人数の見通しについて,近日中に示すという意向を示されたかと思います。その場というのは法務委員会という理解でよろしいでしょうか。

【大臣】
 これまで申し上げてきたように,受入れが想定される人数については,法案審議に資するよう,近日中にお示しするということで,今,鋭意関係省庁とも検討を重ねているところです。その旨御理解いただきたいと思います。

【記者】
 野党が「特定技能」での受入業種,人数,また,技能・日本語能力試験等の詳細が定まっていないことについて,「入管法改正案は生煮えだ」と批判しています。これらの声についての大臣の受け止めをお願いします。

【大臣】
 まず,人数については近日中に粗々の数字を示したいと考えています。また,外国人材に求める技能や日本語能力の水準を測る試験については,業所管庁が一番承知しており,業所管庁と鋭意検討を進めているところです。
 入管法の立て付けについて,この機会に全体構造について御説明すると,例えば,在留資格については,入管法7条において,「我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令に定める基準に適合すること」と規定し,上陸審査基準を法務省令で定め,在留資格の運用をこの省令に基づいて行うということになっています。こういった「我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情」というのは様々であるため,省令に委ねるというのが入管法の立て付けです。やはり,諸般の事情を考慮した的確な判断が必要になるということです。
 この趣旨については最高裁判決においても是認されているところであり,そういった枠組みに従って,出来るだけ早期に関係省庁と検討していきたいと考えています。

【記者】
 今の最高裁判決というのは,マクリーン判決のことだと思いますが,結局,出入国管理法という法律の立て付けだけで,外国人の基本的人権や,あるいは難民保護法といった法改正がないまま,出入国管理だけでこの法律を進めようとしており,そして在留資格と法務省設置法の変更だけでこの法案を進めようということで,野党からも拙速ではないかとの議論が出ているのだと思います。この間,外国人労働者の受入れについても技能実習生や,あるいは日系人の外国人労働者の受入れでも,リーマンショックで派遣切りの対応にあっているわけで,2005年くらいからこういう議論はあるわけですが,そういった検証もなしになぜ今国会だけで決めようとされているのか,経済界の要望なのか,首相官邸からの要望なのか,その辺の事情をお聞かせください。

【大臣】
 中小企業,あるいは小規模事業者,地方を中心とした人手不足が深刻なものであるということは,皆さんも地域を回られればお分かりになると思います。経済界とかそういう話ではありません。人手不足が深刻な分野で働いている方々にもしわ寄せがきているということで,喫緊の課題として与えられた時間の中でしっかりと御説明して,御審議いただきたいと考えています。
 また,新たな在留資格の問題について,技能実習生の話を例示されましたが,技能実習生の問題に関しては,去年の11月に施行された技能実習法によって立入検査が認められるなど,対応が執られているところです。それはそれとして,日本で受け入れている外国人の皆様については,共生も含めて関係閣僚会議で政府一丸となってしっかりと取り組んでいくということです。
 こういった議論というのは今国会で始まったものではありませんが,そういったことをしっかり御理解いただけるように,今国会でも説明をしていきたいと考えています。

【記者】
 審議によっては今国会でまさか強行採決ということはされないと思いますが,絶対にこの国会で通すということなのでしょうか。あるいは,今後の予定として,序盤戦の国会審議を受けて,もう少し時間をかけてやるべきで,国会をまたいででもきちんとした審議をするべきとお考えになったのか,そういった今後の見通しはいかがでしょうか。意地でも今国会で通そうというお考えでしょうか。

【大臣】
 私どもは国会で御審議いただく立場です。国会の御審議の状況について,私どもは国会の求めに応じて,真摯に対応するということで,それ以上のことについては申し上げることではないと思います。

(以上)