平成30年10月19日(金曜日)
10時27分~10時38分
於:記者会見室

冒頭発言

ベンチャー企業からの政府調達の拡大

まず、私から1点申し上げます。
経産省としては、今年6月、ベンチャー企業支援策として約100社の有望なベンチャー企業をJ-Startup企業として選定をして、集中的な支援策を講じてきたところであります。
こういった中で、「政府調達にぜひ参加をしたい」との声がベンチャー企業から数多く挙がっておりました。しかし一方で、ベンチャー企業の入札については、これは入札資格の問題もありまして、参加は300万円未満の調達に限定をされておりました。
この度、経産省から各省に働きかけまして、10月18日に全府庁統一の調達ルールを見直しまして、J-Startup企業については、300万円未満に限らず、全ての規模の政府調達への入札参加が可能となりました。
また、J-Startup以外のベンチャー企業の支援も重要でありまして、J-Startupにまだ選定されていないベンチャー企業に対しては、経産省の総合評価落札方式の調達については、本日から全ての規模の入札に参加可能といたします。
こうした取組によって、意欲あるベンチャー企業が政府調達で実績を積んで、信用力向上、販路開拓につなげて、グローバルに勝てる企業へ成長していくことを期待しております。
詳しいことについては、後ほど事務方から説明をさせます。
私からは以上です。

質疑応答

サウジアラビア記者の失踪

Q:サウジアラビア人ジャーナリストのカショギ氏がトルコのサウジ総領事館に殺害された疑惑をめぐりまして、国際的な緊張感が高まっています。日本や世界経済への影響をどう御覧になっているか、お聞かせください。

A:この事案は、基本的には第三国間におけるものでありまして、また現地において捜査が行われている段階であります。
まず経産大臣としては、事実関係についてコメントする立場にはありませんけれども、その上で申し上げますと、この事案については早期の真相の究明と公正かつ透明性のある形で解決されることを期待したいというふうに思います。
日本の経済にどういった影響が出てくるかというのは、現段階ではなかなか分からないわけであります。これは各国の動きなども見ながら、日本企業の経済活動等に対する影響を含めて、事態の推移をしっかり注視をしてまいりたいというふうに考えています。

車体課税の見直し

Q:今朝、一部報道で消費税の需要落ち込みの対策として経産省は自動車を買うときにかかる税金をゼロにする検討を始めたとありました。
経産省は、税制改正要望で取得時の負担引き下げを打ち出していましたが、自動車の取得時の税金ゼロを目指すということで、現状の方針はどうなんでしょうか。

A:自動車は、言うまでもなく重要な生活の足であるとともに、製造業の出荷額の2割、雇用の1割を占めているなど、経済・雇用面で幅広い波及効果を有する日本経済のいわば牽引役であります。
国内外の市場ですとか貿易環境の先行きが不透明な中、仮に国内の自動車市場がさらに縮小ということになりますと、これは国内の地域の経済・雇用、ひいては日本経済全体に大きな影響を与えるというふうに考えております。
このため、自動車の保有に関する税負担の軽減など、車体課税の抜本見直しに加えて、消費税引き上げ時の需要平準化対策として、自動車の取得に関するユーザー負担の軽減に向けた措置を講ずることが重要だというふうに考えております。
これらを内容とする平成31年度税制改正要望に基づいて関係機関としっかり調整をしてまいりたいと考えています。

Q:ゼロを目指すということでよろしいんですか。

A:内容については、まだこれから具体的に関係機関としっかり議論をする必要があると思っています。

福島第一の汚染水データ誤り

Q:全然別の話になってしまうんですけれども、福島第一原発の汚染水処理をめぐって、東京電力が経産省の小委員会に報告した測定データの中に260カ所の誤りが判明しています。これを経済産業省は、ホームページ上でその資料の修正を出していますが、資料の修正をホームページにアップしたのみですけれども、これは情報公開の在り方として不十分な点があるのではないでしょうか。いかがでしょうか。

A:御指摘のあった東京電力の資料修正については、迅速に情報公開を進めるという意味から、東京電力が資料を公表した17日に経産省のホームページでも修正版の資料と変更比較表を公表したところであります。
まずは具体的な修正の内容について、東京電力から分かりやすく説明をするように指示をして、昨日、東京電力が会見で説明をしたと承知しております。
加えて経産省としても、御指摘のように丁寧に説明を行うということは重要だと思っておりますので、本日、午後2時から事務方からその内容についてしっかりブリーフィングをさせたいというふうに思っております。
いずれにしても、小委員会に対する報告内容に誤りがあったことは極めて遺憾であります。正確な情報発信が行われるよう、引き続き東京電力を指導しながら、経産省としても丁寧な説明に努めていきたいというふうに思っております。
当然、物事を発表するときというのはホームページに加えてプレスリリースや、あるいはそれに関する詳細なブリーフィングというのがセットで行われるというのが私は当然あるべき姿だというふうに思っております。東京電力に対しても、経産省としても、今後はそういう形での発表に留意するよう注意をしていきたいというふうに思っております。
なお、修正のあった資料は、多核種除去設備で浄化処理を行う前後の水の放射能濃度をグラフで説明したものでありますけれども、この修正の前後でグラフが示す全体的な傾向にはほとんど変化はないということも付け加えておきたいと思います。

車体課税の見直し

Q:先ほどの自動車関連の質問に重ねてなんですけれども、車体課税の抜本的な見直しというのは産業界も求めていたんですけれども、その後に続いたところのユーザーの負担軽減について、大臣はどんなふうな事柄を具体的に考えていらっしゃいますか。

A:これはまだ今の段階で予断をもって申し上げるのは控えたいというふうに思います。いずれにしても、いろいろな形で税負担の軽減を図ることによって、消費税による変動対策に当てていきたいというふうに思っております。

Q:例えば、こんなことがあるなみたいなことは。

A:それは、今の段階では控えさせていただきたいと思います。

消費税増税対策

Q:その関連なんですけれども、消費税増税の平準化策でポイント還元の対象が全てになるかどうかという今日の一部の報道もありましたけれども、まずその点について大臣のお考えをお聞かせください。

A:まだ今の段階では、具体的にどういう形で還元をしていくのかとか、具体策はまだ未定でありますので、少し来年度の予算編成の過程で議論をして、しっかりと決めてまいりたいというふうに思っています。

Q:また、それに関連して、経産省としてはキャッシュレスを拡大することを目指していらっしゃると思うんですけれども、クレジットカードの手数料の引き下げなどに関してはどういうふうなお考えでしょうか。

A:日本がこのキャッシュレス対応の世界のトレンドで少し遅れているというのは事実でありますので、これを政策的にしっかり後押ししていかなければいけないというのは、これは消費増税に関係なく進めていかなければいけない政策であります。
また一方で、これから具体的な対策の検討は行ってまいりますけれども、消費税に合わせてキャッシュレスでポイント還元とか、あるいは値引きということが今検討されているわけでありますけれども、ともかく導入しやすい環境を整えなければいけないというふうに思っています。
日本で、いわゆるクレジットカードの導入などが進んでこなかった背景には、やはり手数料負担が重いということもあったわけでありますので、今後、まあ、具体的にはこれから決めますけれども、いろいろな選択肢を準備していく、キャッシュレス対応をしやすい環境を整えていく、中小の商店でも、そういった対応ができる環境を整えていくという議論の中で、手数料を引き下げるなどの措置も検討しなければいけない。その際には、関係事業者にも協力をお願いしなければならないというふうに思っています。

三極貿易大臣会合

Q:通商分野で1点。今朝の一部報道で、日米欧大臣も参加される三極会合でデータ移転の自由化のルールについて、近く日米欧で打ち出しがあるのではないかという報道があった、この点の事実関係はいかがでしょうか。

A:データ流通の重要性が高まる中、データの個人情報保護の権利や安全をしっかりと保護した上で、自由なデータ流通を促進していくルールの形成が非常に重要だというふうに思っています。
国際的にも、既にこれは日本も呼び掛け人となって、呼び掛け国となって、WTOにおいて有志国の電子商取引会合を立ち上げて、データ流通の在り方を含むデジタル貿易のルール形成について議論が始まっているところであります。
また、日米EU三極貿易大臣会合でも、このデータセキュリティの促進を通じたビジネス環境の向上を図ることで合意をしているわけであります。
引き続き、自由で公正な国際的なデジタル市場の実現、これを日本が主導をしていくことが非常に重要だというふうに考えておりまして、特に米国EU、あるいはWTOの有志国会合に参加をしてくれている国ともしっかり連携をしながら進めてまいりたいというふうに思っております。

Q:報道では、「来年のG20までに日米欧で合意を目指す」というふうな形で具体的な記述もありますが、その点の方向性というのはどうでしょうか。

A:まだそれで決まっているわけではありませんが、当然G20の中ではデジタル貿易大臣会合というのもセットされているわけですから、そこが大きな節目になることは間違いないと思っています。

以上

最終更新日:2018年10月19日