平成30年10月16日(火)
9:15~9:32
於:記者会見室
 

冒頭発言

おはようございます。私からは特にございません。

質疑応答

RCEP交渉

Q: 先日のRCEP会合についてお伺いします。
 会合後にも大臣会見で、「いよいよ大詰めの段階に入った」というふうなお言葉がございましたけれども、目標としている11月の実質妥結に向けてどの程度の進展があったのでしょうか。また、残された今後の課題を含めて、どういうふうな妥結をするのかお聞かせください。

A: 先週13日にRCEP閣僚会合に出席をいたしまして、年内の実質的な妥結に向けて、閣僚間で残された政治的論点に道筋をつけるべく集中的に議論を行いました。

 結果としては、市場アクセス交渉について懸隔が一定程度縮まったということを評価する一方で、さらなる改善の必要性も確認をいたしました。

 また、ルール分野についても、年内の実質的な妥結に向けて、引き続き最大限の努力をするよう、個別論点について事務方にガイダンスを与えたところであります。

 今後は、18日からニュージーランドで事務方の交渉会合が開かれて議論をした上で、11月に開催予定のRCEP首脳会合に先立って再度閣僚会合を開催する予定となっております。

 その時点で、なお、懸案として残る事項について政治的に判断をするとともに、首脳への報告内容を議論を行うということで一致をしているわけであります。

 そういう意味で、今後の道行きというか、日程感については各閣僚で意識を共有することができていると思っていますので、まずはこの閣僚のガイダンスに従って、ニュージーランドでの交渉官の会合でどの程度、さらに論点が絞られて、最終的に政治判断を閣僚に仰ぐというものがどの程度上がってくるか、ここを注意深く見ておきたいというふうに思います。

 いずれにしても、今回の閣僚会合の成果も含めて、踏まえて、質の高いRCEPの実質的な妥結を年内に達成できるよう精力的に交渉に臨んでまいりたいというふうに思います。

 

日米TAG交渉

Q: もう一点、アメリカのムニューシン財務長官が日本に対して通貨安誘導を封じる為替条項を求める考えを示しました。これまでも日本の閣僚が否定的な見解を示されていますが、TAG交渉でこうした条項について議論することについてどうお考えになりますか。

A: これは茂木大臣がもう既に発言されているとおり、為替については先月の日米首脳会談での共同声明でも全く触れられていないわけでありまして、現在、日米間の通商協議では問題にはなっていないわけであります。

 為替問題というものは、必要があれば、その必要に応じて日米の財務大臣という担当の大臣の間で議論が行われるべきものではないかというふうに考えています。

 

九州電力の太陽光発電出力制御

Q: 九州で先週末、太陽光の出力制限が行われました。一部システム不具合で、必要のない発電も止めたということもありますし、蓄電池や連系線の強化を求める声もありますが、大臣の御見解をお聞かせください。

A: 大前提として、太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、天候や日照条件などの自然環境によって発電量が変動するという特性があるため、火力など他の電源とバランスのとれた導入を図っていくことが必要ということになるわけであります。

 仮に、地域内での発電量が需要を上回って、そのまま放置すると、これは大きなトラブルに発展するわけですから、発電量を制御する必要がある場合には、あらかじめ決められたルールに基づいて短時間で調整が可能な火力発電の抑制をまず行って、そして地域間連系線を活用した融通などの取組を次に行って、それでもなお供給力が過剰となる場合には、先週末、13、14日に実施されたように、再生可能エネルギーの出力制御を実施する必要が出てくるわけであります。

 これは、決して日本だけが行っているわけではなくて、先日、私が視察をしたスペインや、あるいはアイルランドといった再生可能エネルギー導入が進んでいると言われている国でも、変動する再生可能エネルギーを無制限に発電しているわけではなくて、むしろ、適切な制御を前提とすることによって、送電線への接続量を増やしているという面があるわけであります。出力制御というのは再生可能エネルギーを主力電源化していくために、これは必要不可欠な取組だというふうに思っております。

 今回の九州電力による再生可能エネルギーの出力制御については、手続の面、技術の面、透明性の面できちんと行われたかどうかということについては、当然この制御が行われた場合は、速やかにその内容について情報公開を行うこととなっておりますし、今後、国の審議会などで今回の出力制御の問題、透明性、事業者間の公平性、技術的な問題などをしっかりと検証してまいりたいというふうに思います。

 

学生の就職・採用活動日程

Q: 2点伺わせてください。1つ目は、昨日、就職活動・採用活動に関する関係省庁会議が開かれて、21年春卒業の方に関しては現状維持、22年春以降は今後表示するという内容でまとまったと思います。今後、もう少し長いスパンで就職活動のあり方を表示したいと大臣おっしゃっていましたが、改めて今後どのような議論を期待されていますか。

A: まず、就活ルールそのものに関しては、学生の不安を早期に解消して、学習時間を確保しながら、安心して就職活動に取り組むことができるようにすることが何よりも重要だというふうに考えています。

 関係省庁連絡会議においては、そうした観点で議論が行われて、2021年春に卒業予定の現在の大学2年生については現行のルールを維持する方針で、できるだけ早期に結論を得るべきとの意見で一致をしたところであります。

 中長期的な課題については、これはまた産業競争力会議等でしっかりと議論をしていくことが重要だというふうに思っております。

 今、働き方改革の中でも、あるいは全世代型社会保障を考える上で、生涯現役で頑張るというような働き方を考えていくときに、今の新卒一括採用というものが本当に持続可能なのかどうか、あるいはそのことが日本の産業、あるいは働く個々人にとってプラスになっているのかということについては、これはしっかりと腰を据えた議論をしていかなければいけないというふうに思っております。

 

日中首脳会談

Q: もう一点は、来週、日中首脳会談が開かれる見通しですが、これまでも中国とはサービス分野での連携に経産省は尽力されてきましたが、改めて首脳会談でどのような議論を期待されていますか。

A: いろいろなことがもう既に首脳間等の話し合いで方向性が定められているわけであります。例えば、ウラジオストクにおける日中首脳会談においては、イノベーションと知的財産に関する対話を深めていくことで一致をしているわけであります。また、日中の第三国における企業間の協力ということについては、総理訪中時に第1回の日中第三国市場協力フォーラムを開催するということも決まっているわけであります。

 そうしたことを今後、日中首脳会談に向けて、いかに具体化していくかということが重要だというふうに思っております。

 ちょっと1点訂正させてもらいますが、すみません、中長期的な就職のあり方については、これは未来投資会議で議論します。産業競争力会議ではなくて、未来投資会議で議論します。訂正させていただきます。

 

消費増税

Q: 消費税についてお伺いします。先日、安倍総理が消費税を来年10月に引き上げることを表明しましたが、改めて大臣の考えと経産省の取組があれば教えてください。

A: 総理から御発言があったとおり、昨日の臨時閣議において消費税引き上げと、それに伴う対応について総理から御発言がありました。

 消費税については、これは法律で定められたとおり、来年10月1日に現行8%から10%に引き上げる予定となるわけであります。お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと転換をして、同時に財政健全化も進めていくという取組になるわけであります。

 今回の引き上げ幅は2%ということになるわけですが、前回の3%引き上げのときの経験を生かして、あらゆる施策を総動員して経済に影響を及ぼさないよう、全力で対応する必要があるというふうに思っております。

 経産省は、まさに産業界とか小売店とか、そういったところを所管しているわけでありますので、経産省としては国民生活や経済活動に混乱が生じることがないように、昨日、私を本部長とする消費税率改定円滑化推進本部を発足させ、第1回の会合を開催したところでありますけれども、対応には万全を期してまいりたいというふうに思います。

 

Q: もう一点、消費税で、キャッスレスをすると2ポイント還元という話もあるんですが、そこら辺の議論については今どのような検討段階なのか教えてください。

A: この具体的な内容については、現在まだ検討中でありまして、年末の来年度の予算編成の過程において具体的な内容とか規模感といったものを決定してまいりたいと思います。

 率については、当然、消費税率の引き上げ幅と同じ2%を想定しておりますけれども、例えば実施期間をどれぐらいの期間やるかとか、そういったことについては年末の予算編成へ向けて詳細を詰めていく必要があると思っております。

 

Q: 今の点の確認ですが、取り組むに当たって、大臣としてはどういうことに留意して施策を実施していこうというお考えでしょうか。今の消費税の関連のところです。

A: やはりまずポイント還元ということを通して、しっかりとこの消費税が上がったことに対して、この変動、反動減を緩和する施策にしていく必要があるというふうに思っておりますし、また当然ポイント制ということになると、端末の入れかえとか導入といったことが前提になります。こういったことが、例えば小規模小売店の負担になることがないように、多くのキャッスレス対応の選択肢を準備し、また手数料を引き下げるなどの措置を、これは地銀や信金の協力もいただきながら、しっかりと行っていくことも重要だと思いますし、またキャッシュレスに対応できない消費者についても、クレジットカードだけではなくて、キャッシュレス対応の多様な選択肢を準備していく必要があるというふうに思っています。

 まだ小売店舗でなかなかこの辺を御理解いただけていない店舗もあると思いますので、各店舗に丁寧に対応を図るよう、周知徹底を行っていくことも重要だというふうに思っております。

 

社会保障改革

Q: 昨日、明るい社会保障改革の議論の中で、個人や保険者に対するインセンティブをつける対策について検討を行って、現在もう既に各自治体や各企業、さまざまな工夫が行われている事例が挙げられていました。これを横展開、全国展開していく、まあ、今議論されていると思うんですけれども、その中で最も重要なポイントはどのようにお考えでしょうか。

A: 横展開、いろいろな形があると思っていますが、例えば自治体にスタートアップ企業が協力をしていい成果が出ているというような例も出てきております。行政に閉じて考えるのではなくて、やはり民間の新たなビジネスの発想ですとか、技術的イノベーションをしっかりと取り入れていくことが私は最も重要だというふうに考えています。

 

秋季例大祭

Q: 各閣僚にお伺いしておるんですが、17から20日まで、靖国神社で秋季例大祭が開かれますが、大臣は御出席のお考えはありますでしょうか。また、その理由をお聞かせください。

A: 共同通信さんにお答えする前にまた申し上げさせていただきますが、共同通信に対しては、先日の「事実上MOX再処理を断念」とする記事について、重ねて訂正を強く申し上げたいと思います。

 私が会見でこう申し上げるのも5回目ということになります。

 その上で、さらに共同通信の記事については、海外からの問い合わせによって新たに判明したことがあります。

 当該記事は、共同通信社が英語でも発信をされていますが、日本語の記事と英語の記事の整合が全くとれておりません。英語の記事には「断念した」という直接的な記述がなく、「政府は政策を変えていないが、見通しは不透明」という表現になっています。

 一方で、英語版の冒頭では、もともと日本語版は「MOX燃料の再処理を断念した」という記事だったわけですが、英語版のほうでは、なんと「使用済燃料全てについて費用計上をやめた」ととれるような表現になっています。これは日本語記事の誤りよりも、さらにひどい事実誤認であります。

 日本語記事と英語記事がここまで不整合なのは事実誤認に輪をかけて全く理解に苦しむところであります。日本語の元の記事の訂正はもとより、明確に間違っている英語の記事もしっかりと訂正を申し入れたいと思います。

 私は何回もこの公の場で申し上げていますが、共同通信は全くアクションをとっておられません。私は毎回、記者会見で質問が出た他の案件については誠実にお答えをしているわけですから、共同通信にも誠実な対応をお願いしたいと思います。

 その上で申し上げますけれども、今の秋季例大祭へ出席するかどうかという点については、個人として適切に判断してまいりたいと思いますし、政府全体としての立場は総理、または官房長官にお尋ねいただきたいと思います。

 

Q: 行かれる予定はないという理解で。

A: 個人として適切に判断してまいります。

 

                                  (以 上)

最終更新日:2018年10月17日