平成30年11月16日(金)

 今日の閣議においては,本年7月に成立した「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」及び「法務局における遺言書の保管等に関する法律」の施行期日を定める政令が,それぞれ閣議決定されました。
 また,法務省案件として,質問主意書に対する答弁書が6件ありました。
 続いて私から2点御報告があります。
 1点目として,本日閣議決定された「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」及び「法務局における遺言書の保管等に関する法律」の施行期日を定める政令について御説明します。
 本年7月に成立したこれらの法律は,高齢化の進展等の社会経済情勢の変化に対応し,残された配偶者の生活に配慮する等の観点から,配偶者居住権という新たな権利や法務局における自筆証書遺言の保管制度を創設するなど,昭和55年以来40年ぶりに相続に関する規律を見直すものであり,重要な意義を有するものです。
 これらの法律については,施行に向けた準備に必要な期間等を考慮し,段階的に施行することとされています。本日閣議決定がされた政令は,政令に委任されているこれらの法律の施行期日を定めるものです。
 まず,民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について,原則的な施行期日を平成31年7月1日と定めています。もっとも,これには2つの例外があり,配偶者居住権及び配偶者短期居住権に関する規定については,新たな権利の創設に伴う所要の準備のため,施行期日を平成32年4月1日と定めています。また,今回の政令によるものではありませんが,自筆証書遺言の方式緩和に関する規定については,平成31年1月13日から施行することとされています。
 次に,法務局における遺言書の保管等に関する法律については,全国にある法務局の体制整備等のため,施行期日を平成32年7月10日と定めています。
 法務省としては,これまでも,法務省ホームページや政府広報オンラインを活用するなどして周知活動を行ってまいりましたが,以上のように段階的に施行することに伴う混乱等が生じないよう,今後とも,より一層効果的な周知に努めてまいります。
 2点目ですが,本月15日,法務省及び国土交通省が所管する「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が施行されました。
この特別措置法では,法務省関連の制度として,登記官が,所有権の登記名義人の死亡後長期間にわたり相続登記がされていない土地について,亡くなった方の法定相続人等を探索した上で,職権で,長期間相続登記未了である旨等を登記に付記し,法定相続人等に登記手続を直接促すなどの不動産登記法の特例を設けています。
 また,地方公共団体の長等に財産管理人の選任申立権を付与する民法の特例も設けています。
このほか,同日から,今後相続登記が放置されるおそれのある土地に対応するため,一定の資産価値が高くない土地についての相続登記の登録免許税の免税措置も開始されました。
 法務省としては,特別措置法に基づき,長期間相続登記がされていない土地に関する問題の解決に着実に取り組んでいくとともに,財産管理に関する新制度や登録免許税の免税措置の普及,啓発に努めてまいりたいと考えています。
 また,今回の特別措置法は,短期的に対応可能な課題について措置を講じたものであり,今後増加が予想される所有者不明土地の発生の抑制・解消に向けた更なる対策についても推進していく必要があります。
 法務省においては,引き続き,所有者不明土地問題の解決に向け,関係省庁と連携しながら,更なるスピード感をもって対策を推進してまいります。

新たな外国人材受入れに関する質疑について

【記者】
 外国人材の受入れ拡大のための法案について,野党側は技能実習生の実態を示すことが審議の前提だとしていますが,この点に関しての大臣の所感をお聞かせください。

【大臣】
 国会審議の在り方については,国会における御判断でありますが,技能実習生については,旧制度下における状況を踏まえて,新制度が始まっているところです。そういったことを踏まえて法務委員会等の国会での審議に対応していきたいと思っています。

【記者】
 野党側は来週月曜日にも技能実習生の失踪理由等を調査した聴取票を出せという話をしています。個票のマスキング等の問題もありますが,これについてはどのようにお考えでしょうか。

【大臣】
 国会で決定いただくことだと思いますが,まず,個票については旧法下の違反状況に関する聴取票です。その聴取票には技能実習生のみならず受入機関や送出機関の個人情報など,様々なプライバシー,違反事実についての情報が含まれているので,これを開示するのが適当かどうかという問題があります。もう一点は,これは旧法下の調査であり,そういったものを踏まえて既に新しい技能実習法が昨年11月にスタートしているので,この運用をしっかりとやっていくということだと思います。プライバシーや今後の調査上の支障というものを考えながら,新しい法律に基づいた運用をしっかりとやっていきたいと思います。

資産公開に関する質疑について

【記者】
 今回,公開された御自身の資産に係る評価と制度に対する所感をお聞かせください。

【大臣】
 資産公開制度については,平成13年1月18日付け官房長官決定「国務大臣等の資産公開について」に記載されているとおり,公職にある者としての清廉さを保持・促進し,行政への国民の信頼を確保し,行政の円滑な運営に資することを目的とするものと理解しています。
 したがって,資産公開制度には,閣僚がその立場を利用するなどして不透明な財産を作るようなことがないようにするという意義があるものと考えています。
 また,今回公表した資産内容については,これまでの資産公開でも正確な報告を心がけてきましたが,今回の資産公開についても,ありのままの資産状況を報告させていただいた次第です。

(以上)