平成30年11月6日(火曜日)
9時58分~10時11分
於:記者会見室

冒頭発言

おはようございます。私からは特にございません。

質疑応答

米国の対イラン制裁

Q:2問あります。1つは、アメリカがイランに対して原油を含めた経済制裁を発動しました。これに対する受け止めと、あと併せて日本を一時的に適用除外するという考えも表明されました。これに対してどう御認識されているか、お願いします。

A:アメリカの現地時間5日、国務省が国防授権法上の例外規定を日本に適用するということを発表いたしました。
今回のアメリカの決定は、これまで日本政府が申し入れてきましたエネルギーの安定供給や日本企業の活動に対する懸念について、アメリカとして十分に考慮したものというふうに理解をしています。
今後も、日米間で緊密に意見交換を続けていきたいというふうに思っています。

日EU・EPA

Q:もう一つ、今日の閣議で日本とEUのEPAについて、承認を求める議案が閣議決定されたと思います。通商を所管する大臣として、この意義、意味合いについてお願いします。

A:日EU・EPAは成長戦略の重要な柱でありまして、GDPベースで世界の3割、また貿易額で4割を占める日EUの間の貿易の自由化と円滑化を促進して、投資の機会を増大させるとともに、知財の保護などの分野における協力を強化するものだというふうに考えています。
その意義に鑑みて、早期の締結が重要だと考えております。今回の国会において承認が頂けるよう、関係省庁と連携をして尽力をしていきたいと思っています。

産業革新投資機構

Q:大臣、先日、産業革新投資機構がクールジャパンとの統合について非常に難色を示しているという報道がありました。所管している官民ファンドの統合、統廃合については大臣どのようにお考えになっているのか。まず、産業革新投資機構の傘下にクールジャパン機構を入れるとかというようなお考えについては、どういうふうなお考えですか。

A:いずれにしても、私は官房副長官時代から、官民ファンドの在り方、官としての国のお金が入っているという面とファンドとしての機能をどう両立させるかということをガイドラインを作るなどして取り組んできたわけであります。
経産大臣になってから、当省所管ということで産業革新投資機構とクールジャパン機構の改革にも着手をし、人事等も行ってきたわけであります。
産業革新投資機構、JICが、これはもうファンドオブファンズの形態をとって、これから業務を進めていくわけでありまして、その中でクールジャパン機構も含めていろいろな判断が行われるんだろうというふうに思っていますが、いずれにしても、これは産革機構、JICの方でじっくりと議論されるものだというふうに思っています。

Q:そのJICのところで、先日、高い報酬を検討していると、多分1億円を超えるんじゃないかということなんですが、その高額報酬の是非については大臣どのようにお考えになっているのかということと、報酬については、決まった場合は情報が開示されるのか、金額を含めて。

A:一部報道は承知しておりますけれども、これは最終的な決定前だというふうに聞いておりまして、金額の水準などについて現時点での論評は控えさせていただきたいと思いますが、機構の役員には、やはり国際的に競争力を持つ産業を育成するというミッションを果たすためには、グローバルな視点を持つ優秀な人材を採用することが不可欠だというふうに思っています。
現在、機構において、社外取締役で構成をされる報酬委員会にお諮りをして、報酬の支給の基準の検討が行われているわけであります。この報酬の支給の基準については、準備ができ次第、機構が法律に基づいて経産大臣宛てに届け出ることになるとともに、この基準については、しっかりと公表されることになるわけであります。

Q:今の質問に関連してなんですけれども、民間のファンドの場合ですと、資金集めが大変だったりとか、ファンドの代表者が自らお金を出すということがあるんですけれども、産業革新機構の場合は、既に公的資金が2兆円入っているということで、経営に携わる人がリスクを負っていないんじゃないかというような批判もあるようなんですが、その辺はどういうふうに担保していくというふうに考えているんですか。

A:いずれにしても、この報酬の水準とか、あるいは支給の基準については今議論中でありまして、私のところにはまだ報告は上がってきておりませんので、論評は控えたいと思います。
ただ、いずれにしても、グローバルに、ある意味競っていかなければいけない部分もあるわけでありますから、やはり優秀な人材をしっかりと確保するための一定の相場観というものはあるんだろうと思っています。

プラットフォーマー型ビジネスに関するルール整備

Q:2点伺わせてください。1つ目は、昨日、経産省、公正取引委員会、総務省の検討会議がプラットフォーマーに関するルール作りについて中間整理を発表されました。今後のルール作りの在り方について、経産省、経産大臣としてどのようにお考えでしょうか。

A:昨日、経産省、公取委、そして総務省の3省が事務局を務める有識者会議の提言として、プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応した公正な取引環境整備についての中間論点整理案が公表されたところであります。
今後は、プラットフォーマーや取引先などの事業者から、まずヒアリングを行う、あるいはパブリックコメントなどを通じて幅広い御意見も頂いて、年内の基本的論点整理を行った上で、年明け以降、実態調査ですとか、具体的なルールの整備の検討を行ってまいりたいというふうに思っています。
デジタル・プラットフォーマーをめぐるルール整備に当たっては、国際的な連携も非常に重要だというふうに思っています。EUも取り組んでいるようであります。EU等とも様々な協力をしながら、検討を進めていきたいというふうに思っています。

外国人材受け入れ

Q:2つ目は、政府の外国人材受け入れの検討で、経産省の所管として素形材、産業機械、電気・電子情報関連の各産業が対象とされています。これらの産業で、残留資格の前提となる特定技能1号というものが設けられる見通しですが、経産省所管産業の中では、どのような能力、資質を御覧になるつもりでしょうか。

A:まず、今、御指摘のあった3業種について、一定の専門性、技能を有する特定技能1号の対象とするということを検討しているところであります。具体的に中身がどうなるかといいますと、素形材産業といっても非常に幅が広いわけでありますけれども、その中に、例えば鍛造ですとか、鋳造ですとか、金属プレス加工といった業務内容が想定されるんではないかと思っています。
こういった分野は、例えば資格検定とか、免許とか、テストとか、そういったものが存在をして、特に技能のレベルというものがある程度測りやすい、専門的な技能としてしっかり把握をしやすい分野だというふうに思っています。
例えば、曲面の形状など複雑な形状でも一体で成形ができるような鋳造技術ですとか、あるいは金属の塊を鍛錬することで強靱な製品を成形するような鍛造技術、こういったところの一定のスキルを持っている人材を想定して検討しているところであります。
いずれにしても、特定技能として求められる専門性等については、現在、鋭意精査中でありますし、法務省とも打ち合わせ中でありますので、今後関係省庁とともにしっかり検討を進めて結論を得たいというふうに思っています。

Q:更問いになりますが、語学を含めて、既存の検定であったり、資格検査などで、ある程度は対応できるということですか。

A:今100%、既成のものでできるかどうかは別にして、今ある資格検定のようなものが1つのベースになっていくんではないかというふうに思っています。
いずれにしても、詳細は最終的に関係省庁とよく話し合って決めていきたいし、業界の御要望もよく受け止めていきたいというふうに思っています。

米国の対イラン制裁

Q:先ほどのイラン経済制裁の発動に関連してなんですけれども、今回、適用除外で最大180日間の猶予を勘案する、この間、もちろん、先ほどありましたように、交渉を続けていかれると思うんですけれども、日本政府としてこの期間、180日という期間をどのように見ているか、もし受け止めがあればというのが1点。
もう一点が、またこの猶予期間が終わった後、輸入量がゼロになる可能性もまた引き続きあるということでよろしいでしょうか。

A:いずれにしても、これまでも4回にわたって交渉をして、今回除外ということになっているわけであります。今後も交渉を続けてまいりますので、これはもう今後の協議にかかわる内容、外交上のやりとりにかかわる内容になりますので、コメントは控えさせていただきたいと思います。

Q:また、イランに関連してなんですけれども、今回、輸入を再開するために、輸入量の一定の削減等は必要になるのかどうか、そのあたりの条件が分かれば教えてください。

A:輸入量については、これはコメントができないということになっております。
いずれにしても、アメリカ側の対応がエネルギーの安定供給や日本企業の活動に悪影響を及ぼさないように、引き続き緊密に意見交換をしていきたいというふうに思っています。

Q:今の関連なんですが、そうしますと、日本がイラン産原油の輸入を再開するかどうかという見通しというのは、まだ立っていないということですか。

A:これは民間の企業のそれぞれの判断になるんではないかと思っていますが、今回の決定を踏まえて、各企業がイラン産原油の輸入再開に向けて準備を進めていくのではないかというふうに思っています。

産業革新投資機構

Q:さっきの日本産業革新投資機構のことなんですけれども、支給の基準はこれから届け出があったらと。絶対額は、金額は公表されるんでしょうか。独法の報酬とかは公表されていますし、上場企業も1億円以上だと、役員が幾ら貰っているかって公表されるんですけれども、官民ファンドではその点いかがでしょうか。

A:その辺も公表の在り方も含めて、産革機構で決定をして、そして私の方へ上がってくると思いますので、現時点では何ともコメントはできないと思っています。
いずれにしても、基準は少なくともきっちり公表する必要があろうかと思っています。

製造業の検査不正等

Q:昨日もスバルがリコールを発表したりとかして、日立化成やKYBといったいろいろな製造業、大企業が検査不正を相次いで発表していますけれども、大臣の受け止めと省としての何か対応というのはお考えでしょうか。

A:省としての対応は、これまでも経団連と連携をして、品質の厳格な管理についていろいろと訴えかけてきているわけであります。そういった中で過去の膿が出てきているという面があるんではないかというふうに思っています。
いずれにしても、こういう事態を起こす企業、起こさない企業、両方見ていますと、やはり経営トップがしっかり現場での仕事に目を向けているかということが非常に重要だというふうに思っています。これは経団連との勉強会でも述べさせていただきましたけれども、やはりコストや納期よりも品質・安全、さらにはコンプライアンスを重視していくという、その経営姿勢を現場の隅々まで徹底させることが極めて重要だというふうに思っています。

以上

最終更新日:2018年11月6日