~作業環境測定の新しい測定方法の追加が提言されました~

 厚生労働省の「個人サンプラーを活用した作業環境管理のための専門家検討会」(座長:明星敏彦 産業医科大学産業生態科学研究所教授)は、このたび、個人サンプラーを活用した作業環境測定とその評価の方法についての検討結果を報告書にまとめましたので、公表します。

 現在、労働安全衛生法第65条に基づき、事業者には、一定の作業場において化学物質などの濃度を測定・評価するための作業環境測定(A・B測定※1)の実施が義務づけられています。
 報告書の中で、個人サンプラーによる測定※2方法は、作業環境測定に加えて、リスクアセスメント※3も同時に行うことができるため、作業環境測定の一つの方法として広範な作業場に導入することが望ましいとされました。
 個人サンプラーによる測定方法を導入するにあたっては、現在、この測定を実施できる作業環境測定士の数が十分でないため、養成の期間などを考慮して、まずは一部の作業について、個人サンプラーによる測定の方法を先行導入し、A・B測定と個人サンプラーによる測定のいずれかを選択できるようにすることとされました。

 厚生労働省は、この報告書での提言を受け、個人サンプラーによる測定の先行導入作業に対する具体的な測定・評価方法や、この測定を実施できる人材の養成方法などの詳細について検討を行った上で、法令改正の検討など必要な準備を進めていきます。

 ※1 A・B測定:作業場における化学物質などの空気中濃度を測定する方法で、床面上に6m以下の等間隔で引いた縦の線と横の線との交点5点以上で測定を行うもの〔A測定〕と、化学物質などの発散源に近接し濃度が最も高くなる位置で測定を行うもの〔B測定〕により測定する方法

 ※2 個人サンプラーによる測定:作業者の胸元(呼吸域)に化学物質などの捕集用機器を装着し、1日の作業時間中(原則8時間)、呼吸域の空気中濃度を測定する方法

 ※3 リスクアセスメント:化学物質やその製剤の持つ危険性や有害性を特定し、それによる労働者への危険または健康障害を生じるおそれの程度を見積もり、リスクの低減対策を検討すること。リスクの見積もりの方法の一つとして、個人サンプラーを用いた個人ばく露測定がある