防衛大臣記者会見

日時
平成30年10月16日(09:44~10:03)
場所
防衛省記者会見室
備考
岩屋防衛大臣閣議後

1 発表事項

 なし。

2 質疑応答

Q:辺野古の撤回から1ヶ月以上の時間が経っているのですけれども、撤回文書の精査の現状というものと、今後の対応についてお伺いしたいというのが1点と、もう一つが、撤回による工事の中止の現状を受けて、玉城知事が辺野古の臨時制限区域の破棄というのを政府に求めるといっているのですけれども、その対応について2点お伺いします。

A:埋立承認の撤回処分については、先般来申し上げておりますように、現在、事業者であります沖縄防衛局において処分理由の精査を行っております。その上で、法的措置をとることになると考えております。処分理由が多数の事実を指摘しておりまして、沖縄防衛局において万全の準備をもって法的措置をとるという観点から、慎重に精査を行っているところでございます。それから、2番目のお尋ねにつきましては、臨時制限区域を維持する考えに変わりはございません。

Q:トランプ大統領は、マティス国防長官について辞任の可能性を排除しないというような発言をされましたが、率直にこの発言をどう思われるかということと、安全保障政策を巡ってトランプ政権を現状どのように把握されていますか。

A:御指摘の大統領の発言については私も報道で承知をしておりますが、米政権内の人間関係といった事柄について、コメントすることは控えたいと思います。いずれにしても、日米同盟の強化は非常に重要でございますから、私としても、これからマティス国防長官としっかり信頼関係・人間関係を築いて、日米同盟を更に深化させていきたいと思っているところです。

Q:万一、マティス長官が辞任ということになれば、日本周辺の安全保障に及ぼす影響、あるいは在韓米軍だとか、日米同盟もそうなのですが、どのような影響を及ぼすと懸念されますか。

A:仮定の質問には中々お答えし難いものがございます。

Q:金正恩委員長がポンペオ国務長官と会談した際に、核リストの申告を拒否して、朝鮮戦争の終戦宣言を求めたと承知していますが、防衛省として把握している事実関係と、この経過が、非核化を実現する上で、これに対する評価をお願いします。

A:ポンペオ国務長官が北朝鮮に7日に行かれた際に、大きく3つのことを言われていると思いますが、1つは2回目の米朝首脳会談及びその場所と日時に関する議論を行ったということ、それから共同声明を実施するために残された主要な課題に関する議論を加速するため、実務者レベルの協議をしようということで合意をしたということ、それからプンゲリの核実験場が廃棄されたことを確認するために査察官を招請するということ、こういう中身だったというふうに思います。いずれにしても、朝鮮半島の完全な非核化に向けた北朝鮮のコミットメントを含む首脳間の合意が、完全かつ迅速に履行されることが大事なことでありまして、我々としてもあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、不可逆的な廃棄に向けて、引き続き日米間、あるいは日米韓3ヶ国で綿密に連携していきたいというふうに思っております。

Q:あらゆる射程の弾道ミサイルと核の放棄を求める上で、リストの申告というのは前提条件なのでしょうか。

A:実際、どういうものがあるのかということがわからないと、完全かつ、検証可能な、不可逆的な廃棄にはつながらないと思うので、やはり核に関連するどういう施設・装備があるのかというリストは、やはり出して頂く必要があるのではないかと思います。

Q:イージス・アショアについてお伺いします。現地調査の実施に向けて18日に秋田県庁に幹部の方が説明に向かう予定だと思いますけれども、山口県を含めて地元では懸念が叫ばれていますが、この払しょくに向けて省としてどのように丁寧に説明していかれるのか、大臣の考えをお聞かせください。

A:今週18日から、秋田県におきまして、佐竹秋田県知事及び穂積秋田市長への御説明や住民説明会を予定しております。今般の説明会は、現地での調査に着手する前に、調査の内容や進め方を地元の皆様に説明させて頂くために開催するものでございます。今後、イージス・アショアを配備するか否かを地元に責任を持って説明させて頂くために必要な調査を実施させて頂きたいと思っております。その各種調査の結果を踏まえて、地元の皆様から様々な御指摘を頂いておりますので、一つ一つ丁寧に説明し、御理解を頂いてまいりたいというふうに思っております。

Q:あくまで現時点では、2023年度の運用開始目標、これは変更される考えは大臣はおありではないという理解でよろしいでしょうか。

A:これまでも具体的な運用開始時期は決まっておりませんで、当初計画から遅れているという事実はありませんけれども、いずれにいたしましても防衛省としては、イージス・アショアを可及的速やかに導入できるように、引き続き努力を行ってまいりたいと思います。

Q:国交省の工藤政務官の政治資金の問題で、実質的には資金パーティーを開いていたところ全く0円として記載されていたと、専門家の方からこれは法に対する挑戦だと言われていますけれども、大臣は同じ派閥にいらっしゃったと思いますが、そういったあり方についてどう思われるのか、また、工藤さんは引き続き公務を続けるとおっしゃっていますけれども、そういった対応は正しいと思われるかについてお願いします。

A:私も報道で少し拝見しただけですので、詳細について承知しておりませんが、まずは工藤議員がしっかりと説明責任を果たしてもらいたいと思っております。

Q:昨日、安倍首相が、来年10月に消費税の10%への引き上げ方針を表明されましたが、この事について大臣の見解をお伺いできればと思います。

A:昨日の臨時閣議において、総理から法律で定められたとおりに「平成31年10月1日に現行の8%から10%に2%引き上げる」という御発言がありました。過去2回にわたって見送ってきていることでございまして、やはり財政全般の状況を考えても、全世代型の社会保障制度を充実させることからいっても、環境が許せば引き上げさせて頂くべきではないかなと私も考えているところでございます。国民の皆様に新たなご負担をお願いするものでございますから、防衛省としても、一層の緊張感をもってこれからの予算編成に取り組んでいきたいと思っております。

Q:昨日、防衛装備品の関係で会計検査院からコスト抑制のためのシステムに不備が見つかったということで改善が指摘されていますけれども、現状こうした会計検査院からの御指摘を大臣としてどのように受け止めていらっしゃるかお聞かせください。

A:しっかりと受け止めて、改善を図らなければならないと思っておりまして、そのように指示もさせて頂いたところでございます。御指摘のあったのはコストデータを一元的に管理して分析を行うシステムに入力したデータが必ずしも十分ではなかったと、しっかりとワークしていないではないかという指摘でございます。重く受け止めて改善を図ってまいりたいと思います。

Q:その場合の改善というのは、運用していた方の職員の姿勢とかで改善できるものなのか、あるいは、システムそのものを、一旦、全部見直して、立ち上げ直さなければならないものなのか、どういった改善が必要なのでしょうか。

A:防衛の分野は少し難しいところがあり、事業者側も通常の製品とは違うので、しっかりと原価計算といったデータがあれば、それを入力すればよいということであると思いますが、企業側に必ずしもそういったデータが十分に整っていない場合は、入力のしようがないということになるわけであって、事業者側ともよく相談して、一定のガイドラインのようなものを作らないことには、システムがしっかりと機能することにならないのではないかと思っており、改善するようにと申し上げたところです。

Q:どのような指示をされたのでしょうか。

A:定例会議等において、私から申し上げました。

Q:今、おっしゃったガイドラインの策定みたいなことも指示に含まれるのでしょうか。

A:例えばということで申し上げましたので、必ずガイドラインを作るということではありません。例えばそのような方法があるのではないかということで、事業者側とも緊密に連携をとって、システムが機能するようにしなければならず、役所だけでは解決しないのではないかと思っております。

Q:方策を含めてこれからであると思いますが、いつまでにといった時期的な目途も指示されたのでしょうか。

A:それはまだしておりませんが、可及的速やかに検討を行うようにと申し上げております。

Q:事業者側にデータがないというのは、システムを整備する時から分かっていたことではないでしょうか。そうでありながら整備したのは、当時の判断が不適切だったのではないでしょうか。

A:不適切であったとまでは言えないと思いますが、必ずしも準備が十分ではなかったということは言えるのではないかと私は思っておりますので、このようなパイロット事業を行うからには、しっかりと成果が上がるように入念な準備が必要だったと思います。今からしっかりと改善を図っていきたいと思います。

Q:間もなく、ADMMが行われ、例年、日韓防衛相会談が行われると思うのですけれども、大臣はその際に、先般の旭日旗問題について大臣の方から言及される、提起されるお考えはありますでしょうか。

A:ADMMの日程については、私が出席できるように調整を行っているところでありまして、バイとか3ヶ国という会談についても調整中でございますから、決まっているわけではございませんが、仮に日韓で話合いができるということになれば、何度も申し上げておりますように、先般の事については、非常に残念に思っているということはお伝えしなければいけないなと思っています。

Q:ADMMプラスで中国も参加するということですけれども、日中防衛相会談も検討されているところだと思います。もし実現した場合は、どのようなことを成果として期待しますか。

A:それも調整中ですが、できれば実現したいと思っておりますけれども、その場合には、既に御案内のように海空連絡メカニズムも発足をしておりますけれども、これが更にしっかりワークするように、信頼醸成を図っていかなければいけないと思っております。

Q:日中、日韓、日米も含めて、今回のADMMプラスの機会を日本の安全保障にどのように活かしていきたいでしょうか。

A:先に発表したビエンチャン・ビジョンを、更にしっかりと肉付けしていきたいと、ASEAN地域のそれぞれの国の能力構築支援というものをしっかりやっていこう、というのがビエンチャン・ビジョンだったと思いますが、その中でも具体的にこういうことをやっていこうなどと提案させて頂いて、更に日本とASEANの関係を強化できるように進めていきたいと思います。

Q:先ほどのコストのデータべースにも関連するのですけれども、会計検査院とは別に、財政制度審議会でも防衛装備品の取得に関して、後に契約の当初からコストが上がってしまう事例等々が指摘されていて、そもそも、コストの算定の基準自体がどうなのかというような議論もありますけれども、それに関して大臣はどのようにお考えでしょうか。

A:防衛装備品に関しては、その特殊性から、従来から指摘がございましたので、その御指摘を頂くことがないようにできるだけ努めていくのが我々の役割だと思っております。先ほども申し上げたように、非常に厳しい財政状況の中で、防衛費を頂いているわけでありますから、今後とも、調達については、出来るだけ厳格な仕組みを作って、いたずらにコストが増大していくということにならないようにしなければいけないと思っております。

以上