(H30.10.2(火)12:10 ~ 12:22 会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
冒頭、まず二件申し上げさせていただきます。風しん対策でありますが、現在、関東圏を中心に風しん患者の増加が続いています。本日発表の国立感染症研究所の最新の発表、これは9月26日時点でありますが、前週に比べて全体で128例増加し、合計で770例となっております。地域別では、東京都が239例、千葉県が179例、神奈川県が80例、埼玉県が54例、愛知県44例の順に報告数が多くなっております。現在の状況を踏まえて、担当部局に早急な検討を指示し、9月27日に厚生科学審議会を開催し専門家の皆様に今後の風しん対策を御議論いただきました。その結果、出生児の先天性風しん症候群(CRS)を防ぐために早急に対応することが必要である、との御意見を頂きました。これを受けて、厚生労働省としては、先天性風しん症候群を防ぐ観点から、次の対策を講じてまいります。まず、風しんの症状や感染力、妊婦への影響等について正しくご理解いただくとともに、先天性風しん症候群の発生を防ぐ観点から、妊娠を希望される女性、妊娠されている女性及び同居のご家族には、免疫の有無を確認いただけるよう、抗体検査を受けていただくことを周知してまいります。現在、多くの自治体では、抗体検査を無料で受けられる事業等を提供しております。特に風しんの届出数が増えている関東4都県及び愛知県では、現在の流行の状況を踏まえ、妊娠されている女性とその同居のご家族や妊娠を希望される女性に積極的に抗体検査を受けていただけるよう、周知を図ってまいります。抗体検査を御希望される方は、まず、お住まいの地域の保健所までご相談ください。厚生労働省としても、検査の結果、風しんに対する抗体価が低いことが分かった方が適切に予防接種を受けられるよう環境の整備に取り組んでまいります。厚生労働省としては、引き続き、都道府県や市区町村と連携して適切な風しん対策の実施に努めてまいります。二点目は、本庶佑氏のノーベル生理学・医学賞受賞であります。昨日、ノーベル生理学・医学賞の発表があり、京都大学高等研究院特別教授の本庶佑氏が受賞されました。心からお慶び申し上げ、お祝いをしたいと思います。本庶氏の研究成果は、新しいがん治療薬として実用化につながり、がん免疫療法の発展に大きく貢献したものと認識しております。また、第3期がん対策推進基本計画、これは平成303月閣議決定でありますが、新たに、科学的根拠を有する免疫療法の充実が盛り込まれるなど、我が国のがん対策にも大きな影響を与えております。今般、我が国の研究者による研究成果が国際的にも高く評価されたということで、大変喜ばしく、また誇りに思います。厚生労働省としては、引き続き、医療の質の向上につながる医学分野の研究を、積極的に支援してまいります。最後になりますが、本日の閣議で、全閣僚から辞表のとりまとめが行われました。昨年11月1日に第4次安倍内閣が発足し、私は、厚労大臣としては8月3日からでありますが、第3次安倍改造内閣に引き続き、厚生労働大臣、働き方改革担当大臣、拉致問題担当大臣、内閣府特命担当大臣(拉致問題)を拝命したわけであります。この間、働き方改革法案と生活困窮者自立支援法等改正法案の2つの重要広範議案を成立させたことを始め、受動喫煙対策、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬改定などの社会保障の諸問題など、様々な課題に全力で取り組んでまいりました。また、すべての拉致被害者の一日も早い帰国の実現に向け、主体的かつ全力で取り組んでまいりました。残念ながら拉致被害者の方々の帰国と、また、それに向けての道筋を示すことができないことは、遺憾であります。厚生労働大臣として1年2ヶ月、また、拉致問題担当大臣として3年の間、皆様には大変お世話になりました。改めて御礼を申し上げます。私の方からは以上になります。

質疑

記者:
1年2ヶ月の厚生労働大臣、そして3年間の拉致担当大臣ということでしたけれど、特に思い出に残っていること、あるいはやり残したこと等がありましたらお願いいたします。
大臣:
昨年8月3日に厚生労働大臣を拝命して、1年2か月にわたって様々な課題に取り組ませていただきました。まずは何と言っても「働き方改革実行計画」、これも私が働き方担当大臣として取りまとめたわけでありますが、それに基づく働き方改革法案、これは国会でも色々な議論がありましたが、成立が図られたところであります。ただ、残念ながら裁量労働制に関しては統計等に問題があり、その部分は全面的に削除し、また改めて統計を取り直すという作業に今入らせていただいているところでありますが、こうした働き方改革法案が成立し、これから具体的に施行を迎えていくわけでありますので、その円滑な施行にさらに取り組んでもらいたいと思います。また、生活困窮者等の自立を促進するための、生活困窮者自立支援法等改正案の成立をいたしました。これまでに加えてさらに手厚い対応をすることによって生活保護に陥ることなく自立をしていただけるように様々な手立てを講じたところでありますが、これもまさにこれから具体的な運用を図っていくということであります。まさにこうした法律を含め私どもが進めております地域共生社会の実現に資するものであります。それからやはりその前から色々と受動喫煙対策に対しては議論がありましたけれども、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、法案をとりまとめることができ、成立を図ることもできました。中についてはいろいろご議論がありますけれども、望まない受動喫煙は防いでいくというそのコンセンサスに則って作り上げたものでありますから、これもまさにこれから具体的に施行を図っていくと同時に国民の皆様に受動喫煙に対する認識をさらに深めていただきたいと思います。また、平成30年度には、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬のいわゆるトリプル改定がありました。2025年度を見据えた最後の改定でありましたが、それにおいても予算編成過程において様々な議論の中でプラス改定をしながらこれからの医療の在り方、介護の在り方、あるいは障害者サービスの在り方を見据えた見直しができたと思います。また国際的にも、UHCフォーラム2017また第3回閣僚級世界患者安全サミットを開催いたしました。UHCフォーラムは昨年平成29121314日、第3回閣僚級世界患者安全サミットは今年の4月1314日でございますけれども、国際社会に我が国の取組をかなり発信できたと思いますし、先日国連で結核のハイレベル会合あるいは非感染性疾患のハイレベル会合に出席をいたしましたが、その時に出席をした各国の保健大臣から非常によかったと高い評価をいただけたと思っておりますので、これを例えばUHCについては国連でハイレベル会合が開かれるわけでありますから、それに向けてぜひ進めていただきたいと思います。あと、法律で言えば水道法だけ成立することができませんでした。衆議院は通過をいたしましたが、今回の様々な災害等も踏まえて水道基盤をどう変えていくか強化していくのかが大事な課題だと思っています。それ以外にもこれから総理は3年かけて社会保障改革を進めていくということでありますので、ぜひそれをしっかり進めていただきたいと思いますし、また新たな立場で私もしっかりと応援をしていきたいと思っております。それから、拉致に関しては3年間担当してきたわけでありますけれども、先ほども申し上げたように、残念ながら2002年に5人の方が帰国して以来、お一人の帰国も実現できていない、また、実現に向けての道筋も見いだし得なかったという、本当に、肉親の帰国を待ちながら、望んでおられる中で、長い年月がたち、拉致被害者の方はもとより、ご家族の方々も高齢化され、中には亡くなった方もいらっしゃるわけであります。そうしたことを考えると、痛恨の極みでありますし、本当に申し訳ないなという思いでいますが、そうした中、6月の米朝首脳会談、トランプ大統領から、安倍総理のこの問題に関する考え方を、直接金正恩国務委員長に伝えていただいたということであります。これは大きな成果であると思いますし、これを1つのきっかけとして、この解決が図られるよう、私自身もこれまでも、また先般も、訪米の際に、国際社会との連携強化、あるいは様々な集会に出て国内世論の喚起等を図ってきたわけでありますけれども、どういう立場になっても、すべての拉致被害者が一日も早く帰国ができるよう、私としても、全力で引き続き取り組んでいきたいと思っております。
記者:
先ほどやり残したこととして、社会保障改革をしっかり進めて欲しいとおっしゃいましたが、今後社会保障というのは高齢化社会に向けて、大変なことになると思うのですが、もう少し具体的に次期厚労大臣にどういうことを期待されているのかというのを、社会保障分野に関してお伺いできればと思います。
大臣:
2025年を見据えて税と社会保障の一体改革に取り組んできて、まだ改革工程表の中に残っているものもありますが、一応、来年10月の消費税引き上げをもって、一つの区切りということであります。しかし、それで全部が出来ているわけではありません。さらに2040年までを迎えると、高齢化の進展は少し頭打ちになる、他方で生産年齢人口がさらに減少していく、こういう状況にどう立ち向かっていくのかということを、これまでも経済財政諮問会議等で申し上げてきたわけであります。それに向けてどういう対応を取るのかということで、総理も3年間かけて社会保障改革に取り組んでいくと。一つは、高齢者の就労や、あるいは中途採用を拡大していくという労働面からの対応。二点目としては、健康寿命を拡大していく。三点目としては、いかに医療・介護の分野を含めて生産性を上げていくのか、こういう課題にこれからしっかりと取り組んでいく必要があるだろうと思っております。大臣は離れますけれども、引き続きそうしたことに対しては積極的に関わっていきたいと思っております。
 
 

(了)